概要

本ページはHTML5でSVGを使用しています。閲覧には、対応したブラウザを使用してください。
Javascriptでエンジンの各図を動かしていますので、Javascripが動作するようにしてください。
慣性力・慣性偶力については エンジンの慣性力と慣性偶力の概論を参照されたい。
シリンダは前から左バンクが1,3,5、右バンクが2,4,6の順番である。
前から見るとエンジンは右回転である。
点火順序は 1-2-3-4-5-6とする。
点火間隔は720度/6=120度の等間隔である。
バンク角は60度である。
クランクピンのオフセットが60度なので、ウェブを介して接続されているためクランクピンを共有しているエンジンに比べ左右間のボア中心の間隔が広い。
作図しているエンジンはVG20の緒元の一部を参考とし以下の緒元に基づいている。
項目 寸法(mm)
排気量 1988cc
ボア 78.0
ストローク 69.7
コンロッド中心間距離 138.6
ピストンコンプレッションハイト 30.5
ピストン高さ 67.2
ボアピッチ(a) 108
左右間のボア中心のずれ(b) 41
クランクピンの配置は、下図のとおりである。
1 2 5 3 4 6 SVGの代替画像
上図は、赤色が左バンク、青色が右バンクを示している。
角度θ=
フォームに角度を入力して指定角度をクリックすると横断図・平面図・等角投影図が変化します。
自動回転をクリックするとエンジンが回転します。回転を止めるにはSTOPをクリックします。
等角投影図は1次慣性偶力によるエンジンのすりこ木運動をエミュレーションしています。
等角投影図の赤い線がクランクシャフトです。
※θはクランクシャフトを中心としシリンダ1の上死点下死点方向から右回りの角度である。

各シリンダー横断図・右側面図・等角投影図(1次慣性偶力)

x y z x y z y SVGの代替画像

特徴

縦置きも横置きもできるため大排気量では幅広く使われているエンジンである。
1次慣性力、2次慣性力はバランスしているが、偶力が発生するので、前後のウェブに大きなウェイトを設けて、偶力を打ち消している。
偶力によるすりこ木運動は真円なので1次慣性偶力はウェイトで打消し可能である。
等間隔で点火させるため、左右バンクでクランクピンを共有せずウェブを介してオフセットを設けている。
ウェブ等によりボアピッチが大きくなりがちなので、どちらかというとビックボアのエンジンになりやすい。
エンジンの長さが短いのでFRの場合、フロントミッドシップにしやすく、運動性能の良い自動車になりやすい。
R34 GT-RもGT選手権の途中でVQ30DETTに載せ替えてフロント寄りの重量バランスを改善している。 メインベアリングは4個となる。

各気筒の行程

下図は青が吸気バルブが開いている期間、赤が排気バルブが開いている期間を示している。グラフの左側の数字はシリンダ番号を示している。
各バンクでは排気干渉が発生しない、左右のバンクを1本にまとめると、排気が干渉する。
理想的には、左右別々に大気に排気するのが好ましい。
SVGの代替画像

1次慣性力

エンジンが1回転に1回発生する成分で、 に係数を乗じたものである。
直列3気筒を左右で連結した構造なので、1次慣性力はキャンセルされる。

2次慣性力

エンジンが1回転に2回発生する成分で、 に係数を乗じたものである。
直列3気筒を左右で連結した構造なので、2次慣性力はキャンセルされる。

4次慣性力

直列3気筒を左右で連結した構造なので、4次慣性力はキャンセルされる。

6次慣性力

エンジンが1回転に6回発生する成分で、 に係数を乗じたものである。

上死点下死点方向を水平と垂直成分に分解する

R Rh Rv α L Lh -Lh Lv α 0 x y SVGの代替画像
αがバンク角の半分の角度、Lが左側の上死点下死点方向の力、Rが右側の上死点下死点方向の力、LhはL水平方向の成分、LvはLの鉛直方向の成分、RhはR水平方向の成分、RvはRの鉛直方向の成分を表す。
各成分は以下の式で算定できる。αが30度の場合も示す。




水平方向を合成する場合、例えば右側の力を正とする場合、左側は反対向きなので、符号を反転して加算する。

鉛直成分を算定

直列3気筒が左右それぞれに30度傾けて設置されているエンジンとして解析する。
上死点下死点方向を垂直方向に変換する
各気筒を合成した慣性力は下式となる

以下の和積の公式を使って上式を解く




なので


6次慣性力は単気筒エンジンの

倍となる。
実際の慣性力の値は、以下のとおりである。


M:往復質量/気筒 S:ストローク ω:角速度 πn/30
n:エンジン回転数 rpm

水平成分を算定

直列3気筒が左右それぞれに30度傾けて設置されているエンジンとして解析する。
上死点下死点方向を垂直方向に変換する
各気筒を合成した慣性力は下式となる


以下の和積の公式を使って上式を解く



実際の慣性力の値は、以下のとおりである。


M:往復質量/気筒 S:ストローク ω:角速度 πn/30
n:エンジン回転数 rpm

1次慣性偶力

上下方向

直列3気筒エンジンはエンジンの前後方向が重心に対して対象に力が働かないため、エンジンが前後に動こうとする。 1気筒目が上に動く方向を+とすると重心に対して左回りが+となる、3気筒目は1気筒目と重心に対して逆方向なので符号を反対にする。 ボアピッチをa、左右バンク間のずれをbとすると
エンジンの重心は、3と4気筒目の間にあるが、3と4気筒目はほとんど影響を与えないので無視し左右間でボアのずれがないものとして解析する。

左バンク 1-3-5 シリンダ

各気筒を合成したモーメントは下式となる


右バンク 2-4-6 シリンダ

各気筒を合成したモーメントは下式となる




それぞれ上下方向に変換する

左バンク 1-3-5 シリンダ


右バンク 2-4-6 シリンダ

左右バンクを合成する


以下の和積の公式を使って上式を解く




実際の慣性偶力の値は、以下のとおりである。

M:往復質量/気筒 S:ストローク ω:角速度 πn/30
n:エンジン回転数 rpm

左右方向

エンジンの重心を中心とし、バンク方向を水平に変換し左右方向の力を算定し、合成する。
それぞれ左右方向に変換すると

左バンク 1-3-5 シリンダ

各気筒を合成したモーメントは下式となる


右バンク 2-4-6 シリンダ

各気筒を合成したモーメントは下式となる

左右バンクを合成する
右方向を+とすると1-3-5は逆向きに作用するので符号を逆にして加算する。






実際の慣性偶力の値は、以下のとおりである。

M:往復質量/気筒 S:ストローク ω:角速度 πn/30
n:エンジン回転数 rpm

結論

鉛直・左右成分とも三角関数に乗じている値が同一なので、エンジンを前から見るとクランクシャフトは真円のすりこ木運動する。

2次慣性偶力

上下方向

直列3気筒エンジンはエンジンの前後方向が重心に対して対象に力が働かないため、エンジンが前後に動こうとする。 1気筒目が上に動く方向を+とすると重心に対して左回りが+となる、3気筒目は1気筒目と重心に対して逆方向なので符号を反対にする。 ボアピッチをa、左右バンク間のずれをbとすると
エンジンの重心は、3と4気筒目の間にあるが、3と4気筒目はほとんど影響を与えないので無視し左右間でボアのずれがないものとして解析する。

左バンク 1-3-5 シリンダ

各気筒を合成したモーメントは下式となる




右バンク 2-4-6 シリンダ

各気筒を合成したモーメントは下式となる




それぞれ上下方向に変換する

左バンク 1-3-5 シリンダ


右バンク 2-4-6 シリンダ

左右バンクを合成する





実際の慣性偶力の値は、以下のとおりである。

M:往復質量/気筒 S:ストローク ω:角速度 πn/30
n:エンジン回転数 rpm

左右方向

エンジンの重心を中心とし、バンク方向を水平に変換し左右方向の力を算定し、合成する。
それぞれ左右方向に変換すると

左バンク 1-3-5 シリンダ

各気筒を合成したモーメントは下式となる


右バンク 2-4-6 シリンダ

各気筒を合成したモーメントは下式となる

左右バンクを合成する

右方向を+とすると1-3-5は逆向きに作用するので符号を逆にして加算する。






実際の慣性偶力の値は、以下のとおりである。

M:往復質量/気筒 S:ストローク ω:角速度 πn/30
n:エンジン回転数 rpm

結論

鉛直・左右成分とも三角関数に乗じている値が同一なので、エンジンを前から見るとクランクシャフトはエンジン1回転に対して2倍の速さで真円のすりこ木運動する成分がある。