V型12気筒エンジンの慣性力・偶力
概要
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以下のV型12気筒4ストロークエンジンについて解析する。
シリンダは前から左バンクが1,3,5,7,9,11、右バンクが2,4,6,8,10,12の順番である。
前から見るとエンジンは右回転である。
点火順序は 1-2-9-10-5-6-11-12-3-4-7-8 とする。
点火間隔は720度/12=60度である。
バンク角は60度である。
クランクピンは左右バンクで共有している。
クランクピンの配置は、下図のとおりである。
フォームに角度を入力して指定角度をクリックすると横断図・平面図・等角投影図が変化します。
自動回転をクリックするとエンジンが回転します。回転を止めるにはSTOPをクリックします。
※θはクランクシャフトを中心としシリンダ1の上死点下死点方向から右回りの角度である。
各シリンダの横断図・平面図
特徴
国産の日本向けの車ではトヨタがセンチュリー用に生産していた。
完全バランスである。 メインベアリングは7個となる。
各気筒の行程
下図は青が吸気バルブが開いている期間、赤が排気バルブが開いている期間を示している。グラフの左側の数字はシリンダ番号を示している。
1次慣性力
エンジンが1回転に1回発生する成分で、
に係数を乗じたものである。
直列6気筒エンジンをV型に連結した構造であるため1次慣性力は発生しない。
2次慣性力
エンジンが1回転に2回発生する成分で、
に係数を乗じたものである。
直列6気筒エンジンをV型に連結した構造であるため2次慣性力は発生しない。
4次慣性力
エンジンが1回転に4回発生する成分で、
に係数を乗じたものである。
直列6気筒エンジンをV型に連結した構造であるため4次慣性力は発生しない。
6次慣性力
エンジンが1回転に6回発生する成分で、
に係数を乗じたものである。
直列6気筒エンジンをV型に連結した構造である。
上死点下死点方向を水平と垂直成分に分解する
αがバンク角の半分の角度、Lが左側の上死点下死点方向の力、Rが右側の上死点下死点方向の力、LhはL水平方向の成分、LvはLの鉛直方向の成分、RhはR水平方向の成分、RvはRの鉛直方向の成分を表す。
各成分は以下の式で算定できる。αが30度の場合も示す。
水平方向を合成する場合、例えば右側の力を正とする場合、左側は反対向きなので、符号を反転して加算する。
左バンク1-3-5-7-9-11
ストローク方向
鉛直方向
バンク角が60度なので、左バンクは鉛直方向から30度傾いている。
ストローク方向を鉛直成分に算出するために
を乗じる。
右バンク2-4-6-8-10-12
左バンクと同様に鉛直成分に算出する。
右バンクに対してクランク角が60度遅れているものとして算出する。
ストローク方向
鉛直方向
左右バンクの鉛直方向を合成
単気筒エンジンの9倍となる。
実際の慣性力の値は、以下のとおりである。
M:往復質量/気筒 S:ストローク ω:角速度 πn/30
n:エンジン回転数 rpm
左右バンクの水平方向を合成
右方向を+とすると1-3-5-7-9-11は逆向きに作用するので符号を逆にして加算する
単気筒エンジンの3倍となる。
実際の慣性力の値は、以下のとおりである。
M:往復質量/気筒 S:ストローク ω:角速度 πn/30
n:エンジン回転数 rpm
1次慣性偶力
直列6気筒エンジンをV型に連結した構造であり、直列6気筒エンジンではモーメントが発生しないので、V12でも発生しない。
2次慣性偶力
直列6気筒エンジンをV型に連結した構造であり、直列6気筒エンジンではモーメントが発生しないので、V12でも発生しない。