直列6気筒エンジンの慣性力・偶力
概要
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以下の直列6気筒4ストロークエンジンについて慣性力及び慣性偶力を解析する。
シリンダは前から1,2,3,4,5,6の順番である。
前から見るとエンジンは右回転である。
点火順序は 1-5-3-6-2-4 とする。
点火間隔は720度/6=120度である。
作図しているエンジンはRB20の緒元の一部を参考とし以下の緒元に基づいている。
項目 |
寸法(mm) |
排気量 |
1998cc |
ボア |
78.0 |
ストローク |
69.7 |
コンロッド中心間距離 |
122 |
ピストンコンプレッションハイト |
32 |
ピストン高さ |
57 |
ボアピッチ |
96.5 |
クランクピンの配置は、下図のとおりである。
角度を入力して指定角度をクリックすると横断図及び右側面図が変化します。
自動回転をクリックするとエンジンが回転します。回転を止めるにはSTOPをクリックします。
※θはクランクシャフトを中心とし鉛直方向とクランクピンに挟まれた右回りの角度である。
各シリンダー横断図・右側面図
特徴
完全バランスと呼ばれ、1次、2次の慣性力・慣性偶力のバランスが取れている。
BMWの直列6気筒エンジンは、シルキーシックスと呼ばれる。
かってはTOYOTA、NISSANも製造していたが、今やBMWだけである。
エンジンが長いためFRにしか搭載できないこと(ボルボで横置きの例はある)衝突時の前部のスペースを稼げないことがあげられる。
横方向に余裕があるため吸排気のレイアウトに自由度があるため出力を稼ぎやすい。
横方向に余裕があるため車格の割に小回りが利く。
クランクシャフトが長いので、高回転時に捻れが生じやすく補強等で重量がかさむ。
R34 GT-RもGT選手権の途中でVQ30DETTに載せ替えてフロント寄りの重量バランスを改善している。
各気筒の行程
下図は青が吸気バルブが開いている期間、赤が排気バルブが開いている期間を示している。グラフの左側の数字はシリンダ番号を示している。
1次慣性力
エンジンが1回転に1回発生する成分で、
に係数を乗じたものである。
直列3気筒を前後で連結した構造なので、1次慣性力はキャンセルされる。
2次慣性力
エンジンが1回転に2回発生する成分で、
に係数を乗じたものである。
直列3気筒を前後で連結した構造なので、2次慣性力はキャンセルされる。
4次慣性力
エンジンが1回転に4回発生する成分で、
に係数を乗じたものである。
直列3気筒を前後で連結した構造なので、4次慣性力はキャンセルされる。
6次慣性力
直列3気筒を120度ずらして2個直列に連結して解析する。
各気筒を合成した慣性力は下式となる。
以下の和積の公式を使用して、上式の解析する。
6次慣性力は単気筒エンジンの6倍となる。
実際の慣性力の値は、以下のとおりである。
M:往復質量/気筒 S:ストローク ω:角速度 πn/30
n:エンジン回転数 rpm
1次慣性偶力
前後が対称なので、モーメントは発生しない。
2次慣性偶力
前後が対称なので、モーメントは発生しない。