山本ワールド
D-CVT
D-CVT
新型のダイハツタント(2019年7月9日発表)に搭載されたCVTです。金属ベルトCVTの入力と出力を遊星歯車で合成しているのが特徴です。
金属ベルトのみで変速するベルトモードと、金属ベルトと遊星歯車で変速するスプリットモードの二つがあり、クラッチにより切り替えます。
遊星歯車により増速されるため金属ベルト部の変速比を下げることができます。
金属ベルトを高速で回転させると遠心力でベルトが膨らむためプーリで強く押し付ける必要がありロスが増えます。
変速比が下がれば回転数も下げられるので効率を上げることができます。
また高速では動力のほとんどがギア経由で伝達されるので効率が良くなります。
()内の数値は旧型FF NAの値です。
変速比 前進 3.316~0.501(3.327~0.628)
後進 5.665~2.540(2.230)
最終減速比 5.444(4.800)
変速比*最終減速比 18.052~2.727(15.970~3.014) タイヤサイズ 155/65R14 558㎜と仮定 ECOPIA NH100C 新車装着タイヤとは異なります。
旧型はFFと4WDで最終減速比が異なっていたが、新型は同一であり最終減速比が大きくなり、CVTの変速範囲が広くなっています。
タイヤサイズは旧型と新型は同じなので変速比*最終減速比で比較すると新型の方が上下両方へ範囲が広がっているのがわかります。
プライマリプーリには入力軸の回転がギア3・ギア4で減速されて伝達されます。
セカンダリプーリとサンギアが接続されています。
入力軸とギア1はスプリットモードクラッチを介して接続されます。ギア1・ギア2で増速されてキャリアに伝達されます。
リングギアが出力軸に接続されておりディファレンシャルギアを駆動します。
サンギアとリングギアはベルトモードクラッチを介して接続しておりクラッチの締結により遊星歯車は直結になります。
キャリアにはリバースクラッチが接続されておりクラッチを締結するとキャリアが固定されます。
以下の状態は全クラッチが開放状態であるニュートラル状態を表しています。
変速比に遊星歯車が関与しません。
遊星歯車のサンギアはセカンダリプーリ、キャリアは入力軸につながっているギアの回転が伝わります。
赤色がスプリットモード水平線がベルトモード(サンギアとリングギアが直結)、緑色が後退です。
面白いことにベルトモードとは逆にスプリットモードではセカンダリプーリの回転数を落とせば落とすほど逆にリングギアの回転が速くなります。
停止状態から高速まで加速する場合はベルトモードでセカンダリプーリの回転を上げて、サンギアとキャリアと同回転数になる条件でスプリットモードに移行し以降は逆にセカンダリプーリの回転数を下げます。
ベルトlowは金属ベルトCVT(プライマリ及びセカンダリプリー部)が最大減速比の時、ベルトhiは減速比が最少の時を表しています。
ベルトhi出力 603.1*5.3=3196.43rpm
減速ギア比 1:3.316/√5.3=1:1.440
サンギア:リングギア=3.316:5.665=1:1.708
603.1*7.3=4402.63rpm
動画をみるとこの時、金属ベルトはほぼ最大減速比になっているのでサンギアでベルトlowに印をつけ先ほどの印と結んだ直線とキャリアが交わる点(2999.6rpm)が、スプリットモードに移行するベルトの減速比となります。
増速ギア比 2999.6:2000=1.500:1
カットモデルの写真をみるとこんなにギア1とギア2の大きさは異なっていないように見えます。
2000/0.501=3992.0rpm
n/5.444*60*0.558*π/1000=0.01932n
エンジンが2000rpmで最少減速比の時の車速は
0.01932*3992=77.1km/hとなります。
キャリアが固定されるので、サンギアの回転は反転されてリングギアに減速されて伝達されます。
遊星歯車の減速比は-リングギアの歯数/サンギアの歯数=-5.665/3.316=-1.708となります。
金属ベルトのみで変速するベルトモードと、金属ベルトと遊星歯車で変速するスプリットモードの二つがあり、クラッチにより切り替えます。
遊星歯車により増速されるため金属ベルト部の変速比を下げることができます。
金属ベルトを高速で回転させると遠心力でベルトが膨らむためプーリで強く押し付ける必要がありロスが増えます。
変速比が下がれば回転数も下げられるので効率を上げることができます。
また高速では動力のほとんどがギア経由で伝達されるので効率が良くなります。
諸元(tantoに搭載)
主要諸元表(ダイハツのホームページ内)()内の数値は旧型FF NAの値です。
変速比 前進 3.316~0.501(3.327~0.628)
後進 5.665~2.540(2.230)
最終減速比 5.444(4.800)
変速比*最終減速比 18.052~2.727(15.970~3.014) タイヤサイズ 155/65R14 558㎜と仮定 ECOPIA NH100C 新車装着タイヤとは異なります。
旧型はFFと4WDで最終減速比が異なっていたが、新型は同一であり最終減速比が大きくなり、CVTの変速範囲が広くなっています。
タイヤサイズは旧型と新型は同じなので変速比*最終減速比で比較すると新型の方が上下両方へ範囲が広がっているのがわかります。
システム図
公開されている写真や動画をもとにシステムを推定してみました。各部の名称は独自に命名したものです。プライマリプーリには入力軸の回転がギア3・ギア4で減速されて伝達されます。
セカンダリプーリとサンギアが接続されています。
入力軸とギア1はスプリットモードクラッチを介して接続されます。ギア1・ギア2で増速されてキャリアに伝達されます。
リングギアが出力軸に接続されておりディファレンシャルギアを駆動します。
サンギアとリングギアはベルトモードクラッチを介して接続しておりクラッチの締結により遊星歯車は直結になります。
キャリアにはリバースクラッチが接続されておりクラッチを締結するとキャリアが固定されます。
以下の状態は全クラッチが開放状態であるニュートラル状態を表しています。
ベルトモード
ベルトモードクラッチを締結して遊星歯車のサンギアとリングギアを直結にします。スプリットモードクラッチは解放です。変速比に遊星歯車が関与しません。
スプリットモード
ベルトモードクラッチを解放、スプリットモードクラッチを締結します。遊星歯車のサンギアはセカンダリプーリ、キャリアは入力軸につながっているギアの回転が伝わります。
共線図
公開されている資料を( ダイハツ工業 DNGA新技術を公表 - Daihatsu)基に各部の寸法をスケールアップしてエンジン回転数が2000rpmの時の遊星歯車の共線図を描いてみました。赤色がスプリットモード水平線がベルトモード(サンギアとリングギアが直結)、緑色が後退です。
面白いことにベルトモードとは逆にスプリットモードではセカンダリプーリの回転数を落とせば落とすほど逆にリングギアの回転が速くなります。
停止状態から高速まで加速する場合はベルトモードでセカンダリプーリの回転を上げて、サンギアとキャリアと同回転数になる条件でスプリットモードに移行し以降は逆にセカンダリプーリの回転数を下げます。
各部の回転数等
各部の回転数等を求めると以下の通りです。ベルトlowは金属ベルトCVT(プライマリ及びセカンダリプリー部)が最大減速比の時、ベルトhiは減速比が最少の時を表しています。
セカンダリプーリの回転数
ベルトlow出力 2000/3.316=603.1rpmベルトhi出力 603.1*5.3=3196.43rpm
ギア3 ギア4のギア比
金属ベルト部のレシオカバレッジは5.3なので減速ギア比 1:3.316/√5.3=1:1.440
遊星歯車
後退時の最大変速比はベルトlow時に得られるものと仮定するとサンギア:リングギア=3.316:5.665=1:1.708
ギア1 ギア2のギア比
変速器としてはレシオカバレッジ7.3なのでlow側を固定して7.3倍の回転数を共線図のリングギアに印をつけます。603.1*7.3=4402.63rpm
動画をみるとこの時、金属ベルトはほぼ最大減速比になっているのでサンギアでベルトlowに印をつけ先ほどの印と結んだ直線とキャリアが交わる点(2999.6rpm)が、スプリットモードに移行するベルトの減速比となります。
増速ギア比 2999.6:2000=1.500:1
カットモデルの写真をみるとこんなにギア1とギア2の大きさは異なっていないように見えます。
変速器出力
システム変速比hi(tanto)2000/0.501=3992.0rpm
後退 最少変速比時
2000/2.540=787.402変速器出力の回転数と車速
回転数をn(rpm)とするとn/5.444*60*0.558*π/1000=0.01932n
エンジンが2000rpmで最少減速比の時の車速は
0.01932*3992=77.1km/hとなります。
リバース
リバースクラッチを締結、ベルトモードクラッチとスプリットモードクラッチは解放とします。キャリアが固定されるので、サンギアの回転は反転されてリングギアに減速されて伝達されます。
遊星歯車の減速比は-リングギアの歯数/サンギアの歯数=-5.665/3.316=-1.708となります。
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