直列8気筒エンジンの慣性力・偶力

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概要

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以下の直列4気筒4ストロークエンジンについて慣性力及び慣性偶力を解析する。
シリンダは前から1,2,3,4,5,6,7,8の順番である。
前から見るとエンジンは右回転である。
点火順序は 1-5-7-3-8-4-2-6とする。
点火間隔は720度/8=90度である。
項目 寸法(mm)
排気量 16.98リットル
ボア 130
ストローク 160
クランクピンの配置は、下図のとおりである。
1,8 7,2 5,4 3,6 SVGの代替画像
角度を入力して指定角度をクリックすると横断図及び右側面図が変化します。
自動回転をクリックするとエンジンが回転します。回転を止めるにはSTOPをクリックします。
角度θ=

※θはクランクシャフトを中心とし鉛直方向とクランクピンに挟まれた右回りの角度である。
各シリンダー横断図・右側面図
SVGの代替画像

特徴

自動車用としては現在製造されていない。鉄道用として国鉄 ディーゼルエンジン DMH17系が有名である。
直列4気筒の爆発順序1-2-4-3のエンジンをクランクシャフト方向の中央側に配置し、直列4気筒の爆発順序1-3-4-2のエンジンを前後2気筒ずつ分割し、クランク角度を90度回転させ、中央のエンジンの前後に接合した形状となる。
DMH17系は排気量約17リットルであり、エンジン全長は2m以上である。

各気筒の行程

下図は青が吸気バルブが開いている期間、赤が排気バルブが開いている期間を示している。グラフの左側の数字はシリンダ番号を示している。
SVGの代替画像

1次慣性力

エンジンが1回転に1回発生する成分で、cos \theta に係数を乗じたものである。
各気筒を合成した慣性力は下式となる。
2(\cos \theta +\cos (\theta + \frac{\pi}{2})+\cos (\theta + \frac{2\pi}{2})+\cos (\theta + \frac{3\pi}{2}))=0
以上の結果より1次慣性力はキャンセルされる。

2次慣性力

エンジンが1回転に2回発生する成分で、cos 2 \theta に係数を乗じたものである。
各気筒を合成した慣性力は下式となる。
2(\cos 2\theta +\cos 2(\theta + \frac{\pi}{2})+\cos 2(\theta + \frac{2\pi}{2})+\cos 2(\theta + \frac{3\pi}{2}))
1項と3項を合成
\cos 2\theta +\cos 2(\theta + \frac{2\pi}{2})=2\cos 2\theta
2項と4項を合成
\cos 2(\theta + \frac{\pi}{2})+\cos 2(\theta + \frac{3\pi}{2})=2\cos 2(\theta + \frac{\pi}{2})
1,3,2,4項を合成
2(\cos 2 \theta +\cos (2\theta + \pi))=0
以上の結果より2次慣性力はキャンセルされる。

4次慣性力

エンジンが1回転に4回発生する成分で、cos 4 \theta に係数を乗じたものである。
各気筒を合成した慣性力は下式となる。
2(\cos 4\theta +\cos 4(\theta + \frac{\pi}{2})+\cos 4(\theta + \frac{2\pi}{2})+\cos 4(\theta + \frac{3\pi}{2}))
各項のクランクの角度を4倍にするとすべて以下の様に360度(2π)の倍数となるため角度のずれは0とみなせる。
2(\cos 4\theta +\cos (4\theta + 4\frac{\pi}{2})+\cos (4\theta + 4\frac{2\pi}{2})+\cos (4\theta + 4\frac{3\pi}{2}))=2(4\cos 4\theta)
2( \cos 4 \theta+\cos 4(\theta + \pi))=2(4 \cos 4 \theta)=8 \cos 4 \theta
以上の結果より4次慣性力は単気筒の8倍となる。
実際の慣性力の値は、以下のとおりである。
\displaystyle F=-4 M \omega^2 S (\frac{1}{32 \lambda^3}+\frac{3}{1024 \lambda^5})\cos 4 \theta
M:往復質量/気筒 S:ストローク ω:角速度 πn/30
n:エンジン回転数 rpm

6次慣性力

エンジンが1回転に6回発生する成分で、cos 6\theta に係数を乗じたものである。
各気筒を合成した慣性力は下式となる。
2(\cos 6\theta +\cos 6(\theta + \frac{\pi}{2})+\cos 6(\theta + \frac{2\pi}{2})+\cos 6(\theta + \frac{3\pi}{2}))
1項と3項を合成
2(\cos 6\theta +\cos 6(\theta + \frac{2\pi}{2}))=2(2\cos 6\theta)
2項と4項を合成
2(\cos 6(\theta + \frac{\pi}{2})+\cos 6(\theta + \frac{3\pi}{2}))=2(\cos( 6 \theta + \pi))
1,2,3,4を合成
2(2\cos 6\theta)+2(\cos( 6 \theta + \pi))=0
以上の結果より6次慣性力はキャンセルされる。

1次慣性偶力

前後が対称に動作するので、モーメントは発生しない。

2次慣性偶力

前後が対称に動作するので、モーメントは発生しない。