直列4気筒エンジンの慣性力・偶力

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概要

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以下の直列4気筒4ストロークエンジンについて慣性力及び慣性偶力を解析する。
シリンダは前から1,2,3,4の順番である。
前から見るとエンジンは右回転である。
点火順序は 1-3-4-2 とする。
点火間隔は720度/4=180度である。
作図しているエンジンはCA18の緒元の一部を参考とし以下の緒元に基づいている。
項目 寸法(mm)
排気量 1809cc
ボア 83.0
ストローク 83.6
コンロッド中心間距離 133
ピストンコンプレッションハイト 30
ピストン高さ 60
ボアピッチ 91.5
クランクピンの配置は、下図のとおりである。
1,4 2,3 SVGの代替画像
角度を入力して指定角度をクリックすると横断図及び右側面図が変化します。
自動回転をクリックするとエンジンが回転します。回転を止めるにはSTOPをクリックします。
角度θ=

※θはクランクシャフトを中心とし鉛直方向とクランクピンに挟まれた右回りの角度である。
各シリンダー横断図・右側面図
SVGの代替画像

特徴

自動車用としては最も製造されている形式である。
慣性力は2次以上はバランスしない。排気量が2リットル以上ではエンジンの2倍の速度で互いに逆回転するバランスシャフトにより2次慣性力を打ち消す例が多い。

各気筒の行程

下図は青が吸気バルブが開いている期間、赤が排気バルブが開いている期間を示している。グラフの左側の数字はシリンダ番号を示している。
SVGの代替画像
単純に1-2-3-4の排気管をまとめると排気干渉を起こす。1-4と2-3を別々にまとめると排気干渉が起こらずパワーが出しやすい。

1次慣性力

エンジンが1回転に1回発生する成分で、cos \theta に係数を乗じたものである。
各気筒を合成した慣性力は下式となる。
\cos \theta +\cos (\theta + \pi)=0
以上の結果より1次慣性力はキャンセルされる。

2次慣性力

エンジンが1回転に2回発生する成分で、cos 2 \theta に係数を乗じたものである。
各気筒を合成した慣性力は下式となる。
2( \cos 2 \theta+\cos 2(\theta + \pi))=4 \cos 2 \theta
以上の結果より2次慣性力は単気筒の4倍となる。
実際の慣性力の値は、以下のとおりである。
\displaystyle F=2 M \omega ^2 S (\frac{1}{2 \lambda} + \frac{1}{64 \lambda^3}+\frac{15}{4096 \lambda^5})\cos 2 \theta
M:往復質量/気筒 S:ストローク ω:角速度 πn/30
n:エンジン回転数 rpm

4次慣性力

エンジンが1回転に4回発生する成分で、cos 4 \theta に係数を乗じたものである。
各気筒を合成した慣性力は下式となる。
2( \cos 4 \theta+\cos 4(\theta + \pi))=4 \cos 4 \theta
以上の結果より4次慣性力は単気筒の4倍となる。
実際の慣性力の値は、以下のとおりである。
\displaystyle F=-2 M \omega^2 S (\frac{1}{32 \lambda^3}+\frac{3}{1024 \lambda^5})\cos 4 \theta
M:往復質量/気筒 S:ストローク ω:角速度 πn/30
n:エンジン回転数 rpm

6次慣性力

エンジンが1回転に6回発生する成分で、cos 6\theta に係数を乗じたものである。
各気筒を合成した慣性力は下式となる。
2( \cos 6 \theta+\cos 6(\theta + \pi))=4 \cos 6 \theta
以上の結果より6次慣性力は単気筒の4倍となる。
実際の慣性力の値は、以下のとおりである。
\displaystyle F=M \omega^2 S \frac{9}{4096 \lambda^5}\cos 6 \theta
M:往復質量/気筒 S:ストローク ω:角速度 πn/30
n:エンジン回転数 rpm

1次慣性偶力

前後が対称に動作するので、モーメントは発生しない。

2次慣性偶力

前後が対称に動作するので、モーメントは発生しない。