名鉄3500系
概要
通勤用である
6500系の後継として、名鉄で新規に設計・製造された形式ではじめてVVVF制御を取り入れた車両である。(名鉄では増備車の100,200系のGTO素子VVVFインバータ制御の方が先)
車体は
6500系の金魚鉢と同一であり、スカートが追加されている。
三菱電機のMBS-A方式電気指令式ブレーキを採用しているため、従来のHSC方式電磁直通ブレーキを有する抵抗制御車等とは併結運転ができない。車体は普通鋼製
車体には、電気指令式ブレーキを意味する、ECB(Electric Command Brakeの略)のプレートが追加されている。
4両編成のみであり、120km/h対応である。車両番号は豊橋側を1号とし、編成は、豊橋側の先頭車両の車両番号にFまたは編成を付けてあらわす。
本系列の終了後は、
3700系に移行した。
トップナンバー1次車3501編成の場合、1993年6月23日に落成され、2017年に機器更新をしている。
現在で
年経過している。
前面ガラスに3500系30周年の張り紙がある。
軌間 | 1,067 |
電気方式 | 直流 1,500V |
製造所 | 日本車両製造 |
最高速度 | 120km/h |
形式
号車 | 3500系 | 搭載機器 |
1 | ク3500 Tc1 | SIV,CP |
2 | モ3550 M2 | VVVF,PT |
3 | モ3650 M1 | SIV,CP |
4 | ク3600 Tc2 | |
SIV:補助電源装置(静止型インバータ) CP:空気圧縮機 PT:集電装置 VVVF:制御装置
年次
次 | 編成(製造年) | 適用 |
1 | 3501~3504(19911993) | 東洋電機VVVFのみ |
2 | 3505~3511 | アンテナ形状が変更される 東洋電機VVVFのみ |
3 | 3512~3521 | 東芝製と三菱電機製のVVVF搭載車もあり |
4 | 3522~3526 | 折り畳み補助椅子の本格採用 室内高さ10㎜高くなる 東洋電機VVVFのみ |
5 | 3527~3534(1996) | 〃 |
車体
4両編成 | 1号車 | 2号車 | 3号車 | 4号車 |
形式 | ク3500 Tc1 | モ3550 M2 | モ3650 M1 | ク3600 Tc2 |
全長(連結器を含む) | 18,950 | 18,830 | 18,830 | 18,950 |
車体長 | 18,200 | 18,100 | 18,100 | 18,200 |
全幅 | 2,740 | 2,740 | 2,740 | 2,740 |
全高さ | 3,880 | 4,030 | 4,030 | 3,880 |
台車中心間隔 | 12,400 | 12,400 | 12,400 | 12,400 |
扉 | 3扉 | 3扉 | 3扉 | 3扉 |
単位はmmで示している。
灯火類
ヘッドライトと標識灯を左右に備える。
左側が3514F(東岡崎行)後部 右側が3517F岐阜行き 前部
内装
ロングシート仕様のみである。
運転台
名鉄では初のワンハンドル式
操作は両手で行い、
手前に引くと力行で5段、前に押すと制動で7段である。
以下の写真は、力行5段時の走行状態である。
走行機器
概要
6500系の抵抗制御+界磁チョッパからVVVFに変更されており、電動機は、直流電動機から誘導電動機になっており、整流子が不要であり小型で高回転、高出力が可能となっている。
電動機は、抵抗制御車のように、直列に接続されていない。
抵抗制御車時代の歯車比(6500系・6800系:5.6 1200系・1800系・5000系:4.82)に対して、3500系は、5.65と低速重視であるが、低速域は、1M1Tの抵抗制御車と同等、高速域は、4M2Tの1200系と同等の加速力を確保している。
電動機
東洋電機製造製の主電動機 かご形三相誘導電動機 TDK-6380-A・MB-5059-B 主電動機出力 170kW × 4基/1電動車
駆動方式
TD
継手式中実軸並行カルダン
駆動方式
歯車比
96:17= 5.65
制御装置
新造車
東洋電機製造製 RG645-A-M 2レベル(GTOサイリスタ素子) 4,500 V/4,000 A
東芝製 SVF022-A0
三菱電機製 MAP-178-15V56
モ3550 とモ3650 でユニットを組む、モ3550の床下に搭載されたVVVF1基で2両分の8台を制御する。1C8M
網のついている3つの箱が三相交流のそれぞれの相のGTOサイリスタ素子である(U相 V相 W相)
機器更新車
東洋電機製造製 RG6020-A-M(IGBT素子)冗長系の確保のため1C4M*2群
IGBTのため、発熱量や損失が少なく小型であるため、コンパクトに収納されている。
参考までに、機器更新車である3518Fの実車と各車両の走行時に測定した結果を示す。(乗車定員 20名/1両程度 応荷重機構付きなのであくまでも参考)
電流は運転台の電流計の値を示す。(グラフの右軸の目盛が3518Fの電流値である)
抵抗制御+界磁チョッパ制御の6503Fは、制御装置への入力電流がほぼ一定であり、速度が上がるにしたがって、抵抗器の抵抗を少なくして、電動機の電流を増やしている。30km/hまでは、直列制御なので、8個の電動機が直列に接続されている時の1個当りの電流、30km/h以上が4個の電動機が直列に接続されているときの1個当りの電流を示している。
VVVF制御の3518Fは、70km/h程度までは、速度に比例した電流が流れている。
60km/hで電動機1台当たりの入力電力を比較すると6503Fの場合、1500V/4台*470A=176.3kW、3518Fの場合、1500V*1000A/8台=187.5kWとなる。
かご型誘導電動機は、構造が簡単で、整流子等遠心力に弱い機構がないため、高回転に強く、定格を上回る一時的な大出力も可能である。
例えば、3518Fが90km/hで加速しているとき、1350A程度電流を消費しており、この時電動機は、1500V*1350/8=253kWの入力電力である。
60km/h以上を比較すると抵抗制御の6503Fと3500系(3518F)の速度の伸びを見るとあきらかに3518Fの方が加速がよい。
ちなみに、JR東海のキハ75(気動車 1両当り カミンズのディーゼルエンジン(直6 350ps*2台))を搭載した車両の加速も電車並みといわれるだけあって速い。
凡例
4007:
名鉄4000系 VVVF IGBT 170kW(6極)
311:
名鉄300系 VVVF IGBT 170kW(4極)
3213:
名鉄3100系 VVVF IGBT 170kW(4極)
9511:
名鉄9500系 VVVF ハイブリッドSiC IGBT 170kW(4極)
6503:
名鉄6500系 抵抗制御+界磁チョッパ 150KW
3518:名鉄3500系 機器更新車 VVVF IGBT 170kW(4極)
211:
名鉄100系(VVVF GTOの車両で測定)
キハ75:JR東海キハ75-202 ディーゼルエンジン350ps(257kW)*2 (計514kW)/1両
キハ25:JR東海キハ25-101 ディーゼルエンジン通常運転時最大450ps(331kW)/1両
HC85:JR東海クモハ85-101 ディーゼルシリーズハイブリット(ディーゼルエンジン 336kW 発電機245kW 電動機145kW*2 リチウムイオン電池40kWh)/1両
台車
ボルスタレス空気バネ
電動車台車 住友金属工業 SS-165E
付随車台車 住友金属工業 SS-026E
軸箱支持装置
SUミンデン
固定軸距離(mm)
2,100
車輪径(mm)
860
制動装置
回生制動併用全電気指令式電磁直通空気制動(MBS-A)
基礎ブレーキ シングル式(片押し式)
集電装置
菱形パンタグラフ
PT4214S-A-M形
補助電源装置
INVO38-A0
70KVA
空気圧縮機
空気圧縮機C-1000_AC
連結器
豊橋側
小型密着自動連結器+
M式自動解結装置(固定側)
岐阜側
小型密着自動連結器+
M式自動解結装置(可動側)
車両間
連結面間 730mm
棒連結器
6500系の電磁直通ブレーキから3500系は電気指令式に変更されたため、空気配管の本数が減りすっきりしている。
電動車間の連結面は、制御装置を共有しているためジャンパー線が多い。
3500系
電気指令式ブレーキ 空気管が1本 白 海側から撮影
ク3500(Tc1)モ3550(M2)間
モ3550(M1)モ3650(M2)間
モ゙3650(M1)ク3600(Tc2)間
6500系
電動車間(電磁直通ブレーキ 空気管が3本 赤白緑)