名鉄1000系,名鉄1200系

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概要

名鉄7000系 パノラマカーの後継特急車両として1988年に登場した。
通称、パノラマ Superである。
最初は、先頭に前面展望を満喫できるハイデッカー構造で、展望席を備えた、名鉄1000系として、全車指定席の4両編成で登場した。(名鉄では指定席の車両は特別車と呼ぶ。)全部で21編成製造されている。
1988~1990年に1001F~1016Fの16編成が製造された。

その後、1000系と一般車を連結して、運用していたが、車両間の通り抜けができず誤乗車が絶えなかったことや一般車の接続により最高速度が110km/hに制限されることから、特別車2両と、一般車4両による一部特別車編成1200系が1991年より登場した。1011~1016編成を分割。
1994~1997年に全席特別車1017~1021編成を増備した。

中部国際空港により名鉄の特急政策の見直しがあり、全席特別車は、2000系のミュースカイのみとなり、余剰となった、1000系は台車などの足回り機器等を流用して、車体を新造した5000系14編成により2007から2009年に廃車となっている。
1001Fは流用等はなく廃車となっている。 特別車は、バケットタイプの回転リクライニングシートを採用し、トイレ・洗面所を備える。 車体は全て普通鋼製である。
車両番号は豊橋側を1号とし、編成は、豊橋側の先頭車両の車両番号にFまたは編成を付けてあらわす。
軌間1,067
電気方式直流 1,500V
製造所日本車両製造
最高速度120km/h

1000系概要

概要のとおり、ハイデッカー構造で、展望席を先頭に、4列×5=20席を設けている。シートは、バケットタイプのリクライニングシートを採用している。展望席のシートは、進行方向に合わせて回転させることはできない。展望席以外では、回転可能なバケットタイプのリクライニングシートを備えている。 機器は、6500系を基本とし、歯車比(84:15=5.6から5700糸と同じ、82:17=4.82)を高速向けとし、120km/h走行を可能としている。
車体は全て普通鋼製である
以下の写真は、1200系の先頭車(塗装変更後)

車両番号は豊橋側を1号とし、編成は、豊橋側の先頭車両の車両番号にFまたは編成を付けてあらわす。
灯火類は、車体の外側から、フォグランプ、前部標識灯とLED標識灯(後部標識灯)、シールドビームの順で左右に備える。

号車1000系搭載機器
1ク1000 展望室DC-DC,CP
2モ1050 車掌室CON.PT
3モ1150 トイレPT
4ク1100 展望室DC-DC,CP
DC-DC:補助電源装置 CP:空気圧縮機 PT:集電装置
増備上での変更点
1(1988年)1001F2009年に廃車
1(1988年)1002F~1009F2007~2009年に廃車 機器を5000系に流用
2(1989年)1010F2009年に廃車 機器を5000系に流用
2(1989年)1011F~1012F編成を分割し、一般車を併結して1200系
3(1990年)1013F~1016F編成を分割し、一般車を併結して1200系
4(1994年)1017F~1019Fボルスタレス台車 2007~2009年に廃車 機器を5000系に流用
5(1997年)1020F~1021Fボルスタレス台車 2007~2009年に廃車 機器を5000系に流用

車体

1234
←豊橋側岐阜側→
特別車(展望席付き)特別車特別車特別車(展望席付き)
全長20,38019,73019,73020,380
車体長・連結器21519,80073019,00073019,00073019,800215
台車間隔13,20013,20013,20013,200
全高3,8804,0654,0653,880
単位はmmで示している。
側扉は1両片側当たり2扉で2枚折戸である。扉部にデッキを備え、シートピッチが1mであり、通勤型に比べて0.8m台車中心間隔が長く、車両は20mを超える。

内装

バケットタイプのリクライニングシートを採用
以下の写真は、1200系の写真
 
展望席への階段

リクライニング回転シート

展望席以外のリクライニングシートは方向を回転させることができ、各シートのフッドペダル及び電動で回転が可能。

運転台

運転台の床を台枠下と面一とし、天井を低くした上で1階部分に設置、2階が展望室である。 以下の写真は、1200系の写真 ツーハンドル

走行機器

機器は、6500系を基本とし、歯車比(84:15=5.6から5700糸と同じ、82:17=4.82)を高速向けとし、120km/h走行を可能としている。

電動機

TDK-8225A 複巻整流子電動機・150kW/340V 490A 内扇型

駆動方式

中空軸TD平行カルダン駆動方式

歯車比

82:17=4.82

制御装置

回生ブレーキ付界磁チョッパ制御装置、PE39C形制御装置(東芝)
2号車モ1050に制御装置をそなえ、3号車のモ1150とユニットをなす。
2車両に対して、1C8M
直列段では8個を直列、並列段では4個直列*2並列となる。

台車

1001F~1016F

ボルスタ付空気バネ
電動車台車 住友金属工業 FS521
住友金属工業 FS539 FS548 ボルスタ付き ヨーダンパー

付随車台車
住友金属工業 FS039 ボルスタ付き ヨーダンパー
ク1001~ク1010,ク1111~ク1116は 住友金属工業 FS048に交換
住友金属工業 FS048

1017F~1021F

写真は、1200系の一般車です。
電動車台車 住友金属工業 FS521
住友金属工業 SS165 ボルスタレス ヨーダンパー

付随車台車
住友金属工業 SS026 ボルスタレス ヨーダンパー

同時期に製造されていた6500系・6800系計24両(オールロングシート仕様)がFS548・FS048台車を履いて落成し、1992年から翌年にかけて相互に交換している。なお、1010F以前の全車特別車編成は既存のFS539・FS039台車のまま120 km/h対応に1990年から改造された。

軸箱支持装置

SUミンデン

固定軸距離(mm)

2,100

車輪径(mm)

860 防音

制動装置

回生ブレーキ併用電磁直通ブレーキ

1001F~1016F

基礎ブレーキ
電動車 シングル式(片押し式)
付随車 クラスプ式(両抱え式)

1017F~1021F

基礎ブレーキ ユニットブレーキ(片押し式)

集電装置

菱形パンタグラフ PT4214S-B-M形

補助電源装置

COV013-A0 80KVA

空気圧縮機

空気圧縮機C-1000 AC

連結器

豊橋側

小型密着自動連結器+M式自動解結装置(固定側)

岐阜側

小型密着自動連結器+M式自動解結装置(可動側)

車両間

連結面間 730mm
棒連結器

5000系への流用先

1000系5000系
10025006
10035003
10045007
10055002
10065005
10075008
10085001
10095004
10105009
10175010ボルスタレス台車
10185011
10195012
10205013
10215014

1200系概要

1011F~1016Fを2両ずつ分割し、岐阜側は枇杷島デルタ地点で方向転換の上、豊橋側に分割した2両、岐阜側に新造した一般車4両を連結し、一部特別車とした。 豊橋側の特別車を使用した編成をA編成、岐阜側の特別車を使用した編成をB編成と呼ぶ。 スカートの空気笛(開口部)が左と右の違いがある。
増結用に1200系の一般車と同形状の2両編成の1800系がある。
豊橋側先頭車
A編成B編成.
展望席は、豊橋側のみとなっている。 一般車側の先頭車は特別車と形状が異なっている。
6号車から

123456
←豊橋側岐阜側→
特別車(展望席付き)特別車一般車一般車一般車一般車
全長20,38019,73019,93018,83018,83018,900
車体長・連結器21519,80073019,00073019,20073018,10073018,10073018,320215
台車間隔13,20013,20013,20012,40012,40012,400
全高3,8804,0654,0653,8804,0653,880
単位はmmで示している。

2号車の後ろ側の扉はユニバーサル対応で幅が90センチでセンターがずれている(A編成とB編成はずれている方向が逆)
1200 A編成
123456
形式ク1000モ1050モ1250サ1200モ1450モ1400
Tc1M2M1'TM2'Mc1
PT 車掌室トイレ PT PT
海側RCPRCP
山側DC-DCChopDC-DCChopDC-DC
3号車にユニバーサルトイレ
1200 B編成
123456
形式ク1100モ1150モ1350サ1300モ1550モ1500
Tc1M1M2"TM2'Mc1
PT トイレ車掌室 PTPT
海側DC-DC RCPRCP
山側 ChopDC-DCChopDC-DC
DC-DC:補助電源装置 CP:空気圧縮機 Chop:界磁チョッパ PT:集電装置
写真左側が3号車・右が2号車 海側から撮影
豊橋側先頭車
A編成B編成
3号車(一般車)2号車(特別車)3号車(一般車)2号車(特別車)
ユニバーサルトイレ車掌室車掌室トイレ

車体

一般車は、両開きの3扉である。
3号車は、トイレまたは車掌室を備える。

内装

特別車


A編成はニューリアル時にトイレが大型化している。
その関係で、AとB編成では、トイレと車掌室の配置が入れ替わっている。また特別車の貫通部の扉の開く向きが逆になっている。(自動扉)
指定席の列方向は、山側からAに修正されており、統一された。
2号車岐阜側
豊橋側先頭車
A編成B編成
1・2・3号車車内設備1・2・3号車車内設備
2号車岐阜側(幅が90cmの自動扉)
豊橋側先頭車
A編成B編成
山側から海側へ開く ←海側から山側へ開く →

一般車

一般車は3扉であり、転換クロスシートである。
扉付近に折り畳み式の補助席を備える。

3号車豊橋側
A編成のニューリアル後は、ユニバーサルトイレの設置によりトイレが大型化したため、窓の一部が埋められている。
A編成B編成
海側から山側へ開く ←山側から海側へ開く →

運転台

一般車の先頭6号車に運転台を備える。
ツーハンドル

走行機器

基本は、1000系と同様であるが、複巻整流子電動機を使用しており、高い電圧で使用するとフラッシュオーバーするため、最低でも4機直列で使用する必要があり、直並列制御では、8基直列、4基直列で制御するため、電動車2両単位の編成となる。 6両編成の場合、3M+3Tにはできないため、4M+2Tの編成となり、他の形式より大出力となっている。
したがって、起動加速度が1000系(2M+2T)の2.0km/h/sに対して、1200系(4M+2T)は2.3km/h/sと若干向上している。これは、VVVF制御の2000系や2200系と同様である。
直流電動機を使用した、6500系や6800系などは、起動加速度は、VVVFの一般車と同様の2.0km/h/sであるが、60km/h以上での加速は鈍く、VVVF車の高速の伸びに劣るが、1200系は同等となっており、名鉄としては俊足である。2号車と3号車及び5号車と6号車が電動車であり、A編成とB編成では、B編成が、車両を反転させた関係で、2号と3号車の床下機器の配置が逆になっている。

制御装置

モ1061山側 左から 主制御器 界磁チョッパ装置
 
抵抗器

参考までに実車の走行時に測定した結果を示す。(乗車定員 10名/1両程度 応荷重機構付きなのであくまでも参考)
電流は運転台の電流計の値を示す。電流のサンプルレートが0.5s程度なので、特に直列段については電流の変化を正確に表していない。
定格電流490Aに対して、直列段では、2%増し程度、並列段では5%程度で推移している。 同一システムで歯車比が異なる6500系と比べると歯車比が高速よりのため多少電流を増やしている。6500系の2M2Tに対して1200系は4M2Tであるため、基本的に加速はよい。
1000系の機器を流用した2M2Tの5000系では6500系に対して20%増しであるので、それにくらべれば控え目である。
30km/h程度で直列段から並列段に移行(移行時に一時的に電流が大きく減少する。)、58km/h程度で弱め界磁制御に移行している
105km/h以上では、6500系より電流を絞っているが、4M2Tであるため、加速の落ち込みが抑えられている。

台車

特別車は車体そのものを流用している。
一般車は特別車と異なり、ボルスタレス台車を使用している。
電動台車がSS126系・付随台車がSS026系で 1995年頃にヨーダンパが追加設置され、さらに2004年からは、他系列も含めて電動台車に限り強度を増したSS165系(SS165B・SS165C)へと交換された
電動車台車
住友金属工業 SS165 ボルスタレス ヨーダンパー

付随車台車
住友金属工業 SS026 ボルスタレス ヨーダンパー

軸箱支持装置

SUミンデン

固定軸距離(mm)

2,100

車輪径(mm)

860 防音

制動装置

回生ブレーキ併用電磁直通ブレーキ

特別車

基礎ブレーキ
電動車 シングル式(片押し式)
付随車 クラスプ式(両抱え式)

一般車

基礎ブレーキ ユニットブレーキ(片押し式)

集電装置

菱形パンタグラフ PT4214S-B-M形

補助電源装置

1000系の補助電源装置に加えて、4号,6号車に別形式の補助電源装置を新設した。 COV022-A0 80KVA

空気圧縮機

1000系の空気圧縮機は撤去し、4号,6号車に別形式の空気圧縮機を新設した。 空気圧縮機 三菱電機 C-2000ML AC ピストン式 低圧室*2+高圧室*2 2,000L/分

連結器

豊橋側は増結しないため、豊橋側のM式自動解結装置(固定側)は撤去され、スカートは左右一体型に変更された。

豊橋側

小型密着自動連結器

岐阜側

小型密着自動連結器+M式自動解結装置(可動側)

車両間

連結面間 730mm
棒連結器
名鉄の場合は、ブレーキのエア管は、基本的に海側であるが、車両の方向を変換したB編成は、山側となっている。
B編成は、1号車・2号車の岐阜豊橋側と3号車の豊橋側が山側にエア管があり、3号車の岐阜側は、海側に戻っている。
A編成は、すべて海側にエア管が接続されている。
A編成3号車2号車間(海側)

左側が3号車、右側が2号車
(電磁直通ブレーキ 空気管が3本 赤白緑)
B編成2号車3号車間(山側)

左側が2号車、右側が3号車
(電磁直通ブレーキ 空気管が3本 赤白緑)