名鉄2200系

icon 項目のみ表示/展開表示の切り替え

概要

名鉄伝統のパノラマ車に対して、実用的な思想で、設計された名鉄の最新型の一部特別車である。 豊橋側2両が座席指定の特別車(座席指定 ミューチケットの購入が必要)、岐阜側4両が一般車(乗車券のみで乗車可能)である。 基本的には、特別車は、2000系をベース、一般車は、通勤車3300系をベースにしている。 先頭車は、2000系に準じて、貫通扉のように見えるが、開閉できる構造でない。
以下のイラストは、上側が2200系(1~2次車)、下側が2000系(1~2次車)の1号車の山側である。

2208F 豊橋側 特別車 前側 2208F 豊橋側 特別車 前側

2206F 岐阜側 一般車 後側

写真は、2000系のモ2110である。 モ2200はモ2100を反転させた設計である。


車両番号は豊橋側を1号とし、編成は、豊橋側の先頭車両の車両番号にFまたは編成を付けてあらわす。

2201F 1次車

左から2201,2301,2301 いずれも塗装変更後

2206F 2次車

左から2206,2306 いずれも塗装変更後

2210F 3次車

左から2210,2310

2212F 4次車

左から2212,2312

2231 6次車.2331 2次車

特別車側は最新車両で、一般車側は2次車相当であり製造年が10年ほど違うため、同一編成で前後のスカートの形状が異なる。
左から2231,2331

先頭部の黒部処理の違い

製造時期及び特別車と先頭車で先頭部の黒い部分の処理が異なる。同一編成でも1号車と6号車で違いがある編成もある。
左側が1~2次車の1号車の先頭部の拡大写真。 右側が2334号車。ポリカーボネットは張られていない。黒色と赤は同一の鋼板を塗り分けているだけである。同一の鋼板のためシーリングが不要である。
標識灯は、鋼板に穴を開けて埋め込んでいるため、標識灯回りが隈取のようにパッキンがある。標識が明るくくっきり見える。
2200の30番台の場合、貫通扉風のシルバー部分が鋼板にシルバー塗装であり、色が明るい。

ポリカーボネット処理の先頭部

貫通扉風のシルバー部分の左右側は鋼板の上にポリカーボネットを張っている。ポリカーボネットの渕に丸いピンのようなもので鋼板に固定している。
車体とポリカーボネットの間はシーリング材で埋めている。
標識灯がポリカーボネットの内側にあるのがわかる。
ポリカーボネットは透明で、8mmの厚みであり、鋼板の黒塗装の上にかぶせている。
1次車 1号車(特別車)
ポリカーボネット処理の場所は、前部ガラスの上下である。
ライトがポリカーボネットで覆われている。
2次車 1号車(特別車)
ポリカーボネット処理の場所は、ガラスの下のみでガラス上は、鋼板に黒塗装をしている。
ライトがポリカーボネットで覆われている。

塗装処理の先頭部

3次車以降の1号車(特別車)及び6号車(一般車)は製造次に関わらずポリカーボネットを用いず、黒塗装のみである。赤色と黒色の堺がはっきりしている。
ライトが鋼板に穴を開けて取り付けられており、ライト回りのパッキン及びライトがはっきり見える。


スカートの形状

3次車よりスカートの形状が異なる。3次車より大型化及び空気笛の開口部のスリットの形状が異なる。
左1次車、右3次車以降 いずれも1号車

諸元

軌間1,067
電気方式直流 1,500V
製造所日本車両製造
最高速度120km/h
形式
2200系搭載装置
1モ2200 Mc1 VVF/SIV,PT
2サ2250 T1
3サ2400 T2CP
4モ2450 MVVVF/SIV,PT
5サ2350 T2'CP
6モ2300 MC2VVVF/SIV,PT
2200系
編成№
1(2004)2201~2204
2(2007)2205~2209
(2008)2331~2334
3(2015)2210~2211
4(2016)2212
5(2019)2213

2200系の30番台

3両編成の全車特別車の1600系の岐阜側2両方向転換し、新造の一般車4両を岐阜側に連結した編成を、一部特別車を1700系と呼ぶ。一般車は、2200系の一般車とほぼ同一仕様であるが、区別するために車体番号に30が付加されている。
1700系の特別車を廃車とし、新たに2200系と同様の特別車と既存の一般車を連結したものを、ここでは2200系の30番台と呼ぶ。

1600系

本系列の開発段階では中部国際空港への旅客輸送と当時有料特急における昼間の空席を考慮し、従来の1000系(全車指定席4両編成)より1両少ない3両編成となった。 2編成を連結して6両編成とした場合に、通り抜けができるように先頭部に貫通路を設けており、自動幌連結装置を備えている。 4本12両が投入された。 1000系と同様に「パノラマsuper」の車両愛称を持っていたが、展望席は存在しなかった。 車体傾斜装置のテストのため、1601Fは車体傾斜装置を備えていた。 3両のうち、電動車を1台とした1M+2T形式で、電動機は200kWの大出力のものを4基搭載しており、歯車比も6.07 (85:14)と3500系(96:17= 5.65)よりローギアとなっていた。 1000系では入線ができなかった急カーブ上にある吉良吉田駅(半径160m 4両編成まで)にも本形式は入線可能であった。
名鉄各車両の車体寸法
形式車体長先頭側オーバーハング台車中心間隔後部側オーバーハング車幅連結間隔
モ220018,9002,80013,2002,9002,700600
サ225019,0002,90013,2002,9002,700600
モ170019,7503,65013,2002,9002,700600
サ165019,0002,90013,2002,9002,700600
ク100019,8003,70013,2002,9002,740730
モ105019,0002,90013,2002,9002,740730
モ880019,3003,65012,4503,2002,740730
モ700019,0003,50012,6002,9002,730830
ク350018,1502,90012,4002,8502,740730
モ355018,1002,85012,4002,8502,740730
1600系製造年次
製造年ク1600 Tcサ 1650 Tモ1700 Mc
19991601~16041651~16541701~1704

1700系

1600系の2両を岐阜側を方向転換して流用。ク1601~1604は廃車。(走行機器の一部が流用されている。)
一般車は、2200系に準じる仕様で新造
1700系製造年次
製造年モ1700 Mcサ1650 Tサ2400 T2モ2450 Mサ2350 T2'モ2300 MC2
20081701~17041651~16542431~24342481~24842381~23842331~2334

2200系 30番台

特別車を新造、モ1701~1704、サ1651~1654は廃車
モ2200 Mcサ2250 Tサ2400 T2モ2450 Mサ2350 T2'モ2300 MC2
6(2019)2233~22343353~22542433~24342483~24842383~23842333~2334
7(2020)2231~22322251~22522431~24322481~24822381~23822331~2332

車体

46両編成1号車2号車3号車4号車5号車6号車
形式モ2200 Mc1サ2250 T1サ2400 T2モ2450 Mサ2350 T2'モ2450 Mc2
全長(連結器を含む)19,41519,60018,83018,83018,83018,630
車体長18,90019,00018,23018,23018,23018,115
全幅2,7002,7002,7002,7002,7002,700
全高さ4,0954,038.54,054.54,0954,054.54,095
台車中心間隔13,20013,20012,40012,40012,40012,400
2扉2扉3扉3扉3扉3扉
単位はmmで示している。

灯火類

灯具類は車体外殻に内蔵された形となっており、中心側から順に前部標識灯・標識灯・フォグランプのHID3連式でそのすぐ下に横長のLED後部標識灯を備える。
下の写真は各写真の左側が車両の外側である。

屋外号車表示

連結は岐阜側となり号車はかわらないので、側面の号車表示は、シールである。

内装

特別車

車内設備

室内全景2号車豊橋側から撮影

22インチ液晶があり停車駅の案内、先頭車のカメラの撮影風景が表示される。

回転リクライニングシート

シートの方向転換はデッキに設けられた、スイッチにより方向転換を自動で行うことが可能である。ただし、シートがリクライニングされていると方向転換中に他のシートに当たり、そのシートは方向転換ができないので手動で行う必要がある。
リクライニングの自動回転状況動画

2号車豊橋側

室内照明


間接照明を採用し、落ち着いた感じである。天井左右方向の中央には席2列当たり1個のLEDスポットライト、荷棚の下の窓側に1列に1個ずつ補助ライトが設けられている。これらは常時点灯している。
間接照明
荷棚の上に更に荷棚形状のスペースがあり蛍光灯の光を天井で反射させています。拡大すると蛍光灯の両端の金具があるのがわかります。下の写真は蛍光灯がわかりやすいように意図的に露出を変えていますので実際の室内の明るさ及び色とは異なります。
間接照明の舞台裏を見るのは無粋ですが、背伸びをして撮影しました。

天井スポットライト


荷棚飾り灯

荷棚の通路側縁に1席当たり3個の細長いLED(約10cm×1cm)が設置されている。通常は白色が点灯しているが停車駅に近づくと点滅する。飛行機の誘導灯の雰囲気を醸し出し、点滅により降車準備や荷物忘れを防止するための気遣いである。 中部国際空港へ向かう場合、常滑を過ぎたあたりから白色が青になり、点滅を始める。同時に音楽(Big Sunset)が流れる。中部国際空港連絡鉄道橋を渡り中部国際空港に到着すると青色になる。
白色点滅状況

青色点滅状況

デッキ


トイレ・洗面台

トイレ・洗面台は、特別車2両の中央付近の、2号車の豊橋側に設けられている。
以下の写真は設備の案内図であり、上側が岐阜側、下側が豊橋側、右側が山側、左側が海側である。

洗面化粧台

鏡にもロゴ有

小便器は専用の個室が設けられ、便器と洗面台がある。便器は岐阜向きで洗面台が豊橋側である。

特別車の座席配置と窓配置

2004~2020年の長期にわたり製造されたため、製造年次により4種類ある。(2024.7現在)
座席は豊橋側から岐阜側に向かって1列から列番号が増える。
山側の窓側がA席であり海側の窓側がD席で、中央の通路をはさんで、独立にリクライニング可能な席が2席設置されている。
1号車0A席及び2号車1A,13D席は車椅子対応の1席タイプである。設置位置が少し通路側によっている。
基本は、1号車は4席11列(1~11と1列1席(0A)、荷物置場は豊橋側の海側と岐阜側の両側の計3箇所
2号車は4席11列(2~12列)と1列2席(1A 13D)である。荷物置場は豊橋側の海側と岐阜側の山側の計2箇所
窓は、座席2列に対して1枚の窓が配置され、窓の真ん中にカーテンレールがある。窓端は偶数列が豊橋側、奇数列が岐阜側となる。
写真左側が豊橋側(4D席 4C席)、右側が岐阜側(5D席 5C席)

シートの後ろにテーブルがある。一人席の後ろに座るとテーブルが使えない場合が出てくる。

2200系又は2200系30番台の特別車の座席表

塗りつぶしの窓は、2次車では窓がない。
斜線の窓は、1次車では窓有りでカーテン、2次車以降は窓無しである。 予約 1号 1列~11列 2号 2列~12列

1次(2201F~2204F)

2次車のレイアウトに合わせるため一部の席を撤去して荷物置き場を増設(現在の座席配置の1号車 0A 12D 2号車 13D相当の場所)したがその後、その一部を再度座席に戻している。(1号車 0A 2号車 13D)3次車と同様となっている。増設された荷物置き場の窓はカーテンが降りたままである。(1号車11D後ろ荷物置き場)
1号車11A席後ろの新車時から設置されている荷物置場

1号車11D席後ろの後から設置された荷物置場(荷だなを残したまま、荷物棚を増設、窓有カーテンが降りている)

1号車0A席

2号車13D席(窓有)

1号車 0A席 2号車 13D席は予約ができない席である。

2次(2205F~2209F)

荷物置き場部の窓がなくなっている。その後、3次車に合わせるため荷物置き場を撤去して座席を設置したため窓がない座席がある。窓がない座席は、予約ができない席である。(1号車 0A席 2号車 13D席)
1号車11D席後ろの新車時から設置されている荷物置場(1次車とは荷だな部分の形状が異なり、窓無し)

1号車0A席(窓無し)

2号車13D席(窓無し)

3~5次(2210F~2213F)

現在、2200系は3次車の室内レイアウトが標準となっている。1号車 0A席 2号車 13D席は予約ができない席である。

1次車で荷物置き場でカーテンが降りたままの場所は、3次車以降、窓がなくなっている。
1号車11D席後ろの新車時から設置されている荷物置場(1次車とは形状が異なり、窓無し)

1号車0A席(窓有り)

2号車13D席(窓有り)

6~7次(2231F~2234F)

1700系の特別車を更新した編成である。2200系の30番台ともいう。基本は3次車と同じであるが、2号車の1A席は座席がなく、車椅子専用である。
2号車1A席 車椅子専用

一般車の座席配置

3扉であり基本は、豊橋側からロングシート(5人掛) 扉 転換クロスシート(4列) 扉 ロングシート(8人掛) 扉 転換クロスシート(2列)である。なお6号車の運転台後ろはシートがない。
転換クロスシートは、1次車は山側海側それぞれ2席ずつであったが、2次以降は左右で1席、2席とし通路を広くとっている。 なお、2次車以降の転換クロスシートは豊橋側から山側1席、海側2席、次の岐阜側は山側2席、海側1席と交互になっている。

左右2列ずつの転換クロスシート(1次車)

写真は2204Fの2列ずつの転換クロスシートである。

2列+1列の転換クロスシート(2次車~)

以下の写真は、2次車以降の1人掛け部分の転換クロスシートである。

座席配置図

以下に一般車の座席の配置を示す。1号車は、車掌室から岐阜側の最初の客扉まで座席がない。

運転台

2000系に準じた運転台であるが、貫通路がなく余裕があるので機器が中央側へ少しはみ出している。
外側からみると2000系同様に貫通路カバーで隠れているように見えるが、内側から見ると窓下は、壁になっている。 カバーの一部は、窓となっており、2000系より視界がよい。

走行機器

電動機

東洋電機製造製の主電動機 かご形三相誘導電動機 TDK-6382-B 主電動機出力 170kW(4極) 1100V-114A 1,960rpm 67Hz

駆動方式

WN駆動方式

歯車比

96:17= 5.65

制御装置

電動車に自車の電動機の制御装置が搭載されており、隣の車両に電動車がなくユニット化していない。

三菱電機製

MAP-173-15V130A/B/C IGBT素子 (1C2M制御×2群)

東芝製

SVF072-C0/G0 IGBT素子 (1C2M制御×2群)

台車

ボルスタレス空気バネ
電動車台車 住友金属工業 SS-164

付随車台車 住友金属工業 SS-026F

軸箱支持装置

SUミンデン

固定軸距離(mm)

2,100

車輪径(mm)

860

制動装置

回生制動併用全電気指令式電磁直通空気制動(MBS-A)
基礎ブレーキ ユニットブレーキ(片押し式)

集電装置

シングルアーム パンタグラフ PT-7118-B

補助電源装置

制御装置一体型SIV MAP-174-15V130A 75KW

空気圧縮機

3号車と5号車にC-1500を設置している。
三菱電機 圧縮機容量 1,500 L/分 圧縮方式 往復動 低圧室*1+高圧室*1

連結器

豊橋側

特別車側は増結を考慮していないので小型密着連結器のみ搭載している。
小型密着自動連結器
豊橋側連結器>

岐阜側

一般車側は2両編成の増結を考慮して電気連結器も搭載している。
連結器の解結は、運転台のスイッチにより空気シリンダーで解除ができる。
小型密着自動連結器+M式自動解結装置(可動側)

車両間

連結面間 600mm
棒連結器
2200系
名鉄の場合、ブレーキのエア管は基本は海側であるが、1号車は、2000系のモ2100型を反転させた設計であるため、1号車と2号車間のブレーキエア管は山側に設置されている。(エルボが白で着色しているおり、中央物が丸いカップリングで接続されているホース)
写真は山側から撮影している。
(1・2号車間)
2・3号車間
(3・4号車間)
(4・5号車間)
(5・6号車間)
2200系30番台
1700系は、特別車は1600系を反転させて使用していたため、1号と2号車のブレーキのエア管が山側になっていた。3号車は2号車と接続するため、山側にブレーキのエア管があった。
2200系30番台は、1700系の特別車部分を2200系と同様の特別車を新造して交換した。3号車のブレーキのエア管が前述の通り山側であるため、2200系と異なり、2号車側のブレーキのエア管を山側にしている。
写真は山側から撮影している。
(2・3号車間)
最初の写真が2200系30番台、次の写真が2200系である。