名鉄2000系

icon 項目のみ表示/展開表示の切り替え

概要

中部国際空港(セントレア)へのアクセス特急への使用を目的に製造された全席指定席の特別車であり中部国際空港に乗り入れる、鉄道は、2024年現在、名鉄唯一であることからも力が入っている車両と思われる。
愛称は、ミュースカイである。
空港線の所有者は、中部国際空港連絡鉄道(愛知県、名古屋鉄道などが出資する第三セクター方式の鉄道会社)であり、名鉄は、施設を借り受けている立場である。
常滑線はカーブが多いが、 ミュースカイの場合、空気ばねによる車体傾斜装置を備えカーブを速く走行できる。
以下の動画の上側が名鉄2200系、下側がミュースカイ(大野駅北側R=230mを走行 奥が名古屋方向)

名鉄では赤い車両が標準のイメージがあったが、青色を使用しており斬新な感じである。色違いで一部特別車の2200系がある。
当初は3両編成であったが、乗車率が高いため、増結して4両編成となった。 名鉄の特別車特有のミュージックホーンを搭載している。
2006年にローレル賞を受賞している。

車両番号は中部国際空港側を1号とし、編成は、中部国際空港側の先頭車両の車両番号にFまたは編成を付けてあらわす。
(豊橋に乗り入れることはないので、中部国際空港側という表記にした。)
2010F 岐阜側

2006F 豊橋側

2010F 岐阜側

2002F 岐阜側 海側


先頭部のシルバー部分が貫通部を隠す、プラグドアである。
貫通編成とする場合は、プラグドアが左右に開く。
先頭部のガラス下におけるプラグドアの左右の黒い部分は、鋼板の黒塗装の上に8mmの厚さの透明ポリカーボネットでをかぶせており斬新な感じがする。
2200系の1次車の1号車も同様にポリカーボネットを使用していたがポリカーボネットのシルバー部側とレール側はシーリング材で処理されているため端部の処理が異なる。

軌間1,067
電気方式直流 1,500V
製造所日本車両製造
最高速度120km/h

 8両編成(2編成連結)

ラッシュ時は、4両編成同士を連結貫通させて、8両編成で運用し、編成間の通り抜けが可能である。
2023年3月18日ダイヤ改正により、 運行は、メインは、名鉄名古屋~中部国際空港で、朝、夕方に名鉄岐阜間と新鵜沼間の運行がある。朝に2本に限り新可児駅発が存在する。
名鉄の豊橋駅と神宮駅の間は運行していない。
平日の朝は、新可児駅発と新鵜沼駅発のミュースカイが犬山駅で連結をする作業を見ることができる。
ちなみに、中部国際空港発のミュースカイに、新可児駅行きは存在しない。
(※2024年3月にもダイヤ改正されているので最新情報を確認してください。)

犬山駅 6:50発

新鵜沼 6:39発 犬山着 6:44
新可児 6:27発 犬山着 6:46

犬山駅 7:24発

新鵜沼 7:13 発 犬山着 7:18
新可児 7:00 発 犬山着 7:20

形式

3両編成
号車2000系搭載機器
1ク2000 TcCP
2モ2050 M 3/4CP,PT
3モ2100 Mc 3/4VVVF/SIV,PT
4両編成
号車2000系搭載機器
1ク2000 TcCP
2モ2050 M 3/4CP
3モ2150 M1 2/4CP,VVVF/SIV,PT
4モ2100 Mc 3/4VVVF/SIV,PT
上表の分水表記は、車両のモーター数が分子、車軸数が分母である。モーターは豊橋側に設置搭載されている。
年次
編成№ク2000 モ2050 モ2100モ2150 3次
12001~200220042006
22003~201020042006
32011~201220062006
1次~2次車は、あとから1人席に大型荷物置場設置しており、その部分の窓はカーテンが降りたままになっている。
3次車は、大型荷物置場の窓が存在しないので外形が異なる。

車体

4両編成1号車2号車3号車4号車
形式ク2000 Tcモ2050 Mモ2150 M1モ2100 Mc
全長(連結器を含む)19,41519,60019,60019,415
車体長18,90019,00019,00018,900
全幅2,7002,7002,7002,700
全高さ4038.54038.54,0954,095
台車中心間隔13,20013,20013,20013,200
2扉2扉2扉2扉
以下は2001F~2010F編成を図示している。図をクリックすると大きく表示されます。
単位はmmで示している。

以下は、名鉄130周年記念企画のブルーミュースカイである。(2003Fのみ)青・白がスカート以外は逆転している。

2003F 岐阜側

2003F(ブルーミュースカイ)+2009F(ミュースカイ)

屋外号車表示

ミュースカイは連結により号車が変わる場合があるので、側面の号車表示は、7セグタイプである。

内装

4号車車内

室内照明

室内照明


間接照明を採用し、落ち着いた感じである。天井左右方向の中央には席2列当たり1個のLEDスポットライト、荷棚の下の窓側に1列に1個ずつ補助ライトが設けられている。これらは常時点灯している。
間接照明
荷棚の上に更に荷棚形状のスペースがあり蛍光灯の光を天井で反射させています。拡大すると蛍光灯の両端の金具があるのがわかります。下の写真は蛍光灯がわかりやすいように意図的に露出を変えていますので実際の室内の明るさ及び色とは異なります。
間接照明の舞台裏を見るのは無粋ですが、背伸びをして撮影しました。

天井スポットライト


荷棚飾り灯

荷棚の通路側縁に1席当たり3個の細長いLED(約10cm×1cm)が設置されている。通常は白色が点灯しているが停車駅に近づくと点滅する。飛行機の誘導灯の雰囲気を醸し出し、点滅により降車準備や荷物忘れを防止するための気遣いである。 中部国際空港へ向かう場合、常滑を過ぎたあたりから白色が青になり、点滅を始める。同時に音楽(Big Sunset)が流れる。中部国際空港連絡鉄道橋を渡り中部国際空港に到着すると青色になる。
白色点滅状況

青色点滅状況

デッキ


トイレ・洗面台

トイレ・洗面台は編成の中央の2号車後部に備える。


洗面化粧台

連結部デッキ間は2.13+0.215+0.215+2.13=4.69とかなり長い。連結部は段差がある。
 
22インチ液晶があり停車駅の案内、先頭車のカメラの撮影風景が表示される。

座席配置

1 2 4号車は11列、3号車は12列でA~D
2号車には12Dの1人席がある。
荷物置き場は中部国際空港側及び岐阜側に山側海側両方の計4箇所が基本であるが、2号車のみ岐阜側の海側が12D 車椅子対応の1人席となっている。
2001F~2010Fの1 2 4号車の0Aと1,4号車の12Dはあとから荷物置き場が増設されているので窓のカーテンが降りたままとなっている。荷棚を残したままその下に荷物置き場を設置したため左右で荷物置き場の形状が異なる。 2011F~2012Fは荷物置き場に窓がない。 3号車は、新造であるため、各編成共通である。
窓配置は、2列ごとに柱で区切られた窓の区画があり、偶数列が中部国際空港側、奇数列が岐阜側となる。

1,2次車の1,2,4号車の中部国際空港山側の荷物置き場(後から増設したためカーテンが降りたままである。)

1,2次車の1,4号車の岐阜側海側の荷物置き場(後から増設したためカーテンが降りたままである。)

2号車の岐阜側の海側の車椅子対応の1人席

運転台

車体中央が貫通路になるためコンパクトな運転台である。

走行機器

電動機

東洋電機製造製の主電動機 かご形三相誘導電動機 TDK-6382-B 主電動機出力 170kW

駆動方式

WN継手平行軸カルダン駆動

歯車比

96:17= 5.65

制御装置

3両編成時は、モ2050とモ2100でユニットを組みモ2100にインバーターを設置されている。
1M1Tと同等の動力性能とするため、モ2050、モ2100は豊橋側の3軸にモーターを設置しており、3/4M車となっている。 中間車モ2150を新造しモ2050とモ2100の間に挿し込み4両編成としている。3次車は、もともと4両で新造されている。
モ2150は豊橋側2軸にモーターを搭載しており、2/4Mとなっている。モ2150は1台でVVVF、SIV、電動空気圧縮機等を装備し単独のM車である。
中間車増備後の2号車のモ2050は4号車のモ2100のインバーターで3号車の渡り線を経由して駆動されている。
モ2100とモ2050を制御(モ2100海側)
1C3M*2

モ2150を制御(モ2150海側)
1C2M

三菱電機製

MAP-173-15v121 IGBT (1C3M制御×2群)

東芝製

SVF-072-A0 IGBT (1C3M制御×2群)

台車

本線系の車両の直線の最高速度は以下のとおりである。
形式 6000 6500/6800 5000 1200 1800
制御方式 抵抗制御 界磁チョッパ 界磁添加励磁 界磁チョッパ 界磁添加励磁
最高速度 100km/h 110km/h 120km/h
写真
起動加速度 2km/h/s 2.3km/h/s 2.2km/h/s
形式 2000 2200 3500 3700/3100 3300/3150 9500/9100
制御方式 VVVF IGBT VVVF GTO/IGBT VVVF IGBT VVVF ハイブリッドSiC IGBT
最高速度 120km/h
写真
起動加速度 2.3km/h/s 2km/h/s
曲線部については以下の通り。
直線路 曲線R=230 C=55 S=0の場合
直線路 カント55㎜ カント55㎜+2度
120 km/h 最大 55 km/h 最大 60 km/h

カーブを早く回るには、車両が受ける遠心力で車体が外へ飛ばないように車体を内側に傾斜させて走行する必要があるが、レールは、風や停車時に車体が転倒しないように最大カント量が決まっているため、むやみにレールに傾斜をつけることはできない。
名鉄の場合は、狭軌(きょうき)の1,067mmであり、 技術基準上、最大カントは105mmとされている。
ミュースカイの場合、空気ばねによる車体傾斜装置を備え、走行時に車体を傾斜させることができるので、カント+車体傾斜によりさらに速くカーブを走ることができる。
v=k√R v:曲線半径制限速度 k:定数 R:曲線半径
最大2度傾斜{ATS-Pが地上に設置されている常滑線(神宮駅~常滑駅)、空港線(常滑駅~中部国際空港駅)のみ}
例えば、常滑線で神宮駅から中部国際空港へ向かう場合、一番きついカーブは、大野駅の北側のR=230mであり、カントは55mmでスラック0mmである。通常、55km/hのところ、ミュースカイでは60km/hが最高速である。
軌道における速度の標識は、ミュースカイ用とそれ以外の車両用が1つ支柱に上下に標識板で設置されている。

ミュースカイは、車体傾斜装置を備えているため、車幅を2,700㎜(外径)と通常の車両より狭くしている。
2度傾くと、2700*sin(2度)=94.2㎜となり、レールが水平と仮定した場合、車体のカーブの内側と外側では94.2mm高さの差が発生することになる。
カント55mmに対して傾斜角は、sin-1(55/1,067)=2.95度、さらに2度傾くと、2,700*sin(2.95+2度)=232.97mmとなり、レールが水平と仮定した場合、車体のカーブの内側と外側では水平を基準にすると232.97mm高さの差が発生することになる。
ボルスタレス空気バネ
電動車台車 住友金属工業 SS-164 付随車台車 住友金属工業 SS-064 空気ばねを用いた「車体傾斜装置」を採用して車体を最大2度傾斜 曲線通過速度を既存車に比べて5 - 15km/h向上させている。
2000系 モ2102 SS164型台車

2200系 モ2232 SS164型台車

軸箱支持装置

SUミンデン

固定軸距離(mm)

2,100

車輪径(mm)

860

制動装置

回生制動併用全電気指令式電磁直通空気制動(MBS-A)
基礎ブレーキ 基礎ブレーキ シングル式(片押し式)

集電装置

シングルアーム パンタグラフ PT-7118-D
1~2次車の、4両編成は、パンタグラフはモ2050からモ2150へ移設しており、岐阜側2両にパンタグラフを備える。モ2050にはパンタグラフの台が残っている。
3次車は、新造時からパンタグラフがモ2150に設置しておりモ2050にパンタグラフの台はない。

補助電源装置

モ2150とモ2100にそれぞれ120kVAのSIVを備える。
4両編成のわりには大容量を確保している。

空気圧縮機

3両編成から中間車を新造して4両化した関係で、2種類の空気圧縮機が設置されている。
ク2000 C-1500
モ2050 C-1500
写真は名鉄2200系を流用

モ2150 C-1000

空気ばねを使用した車体傾斜装置を使用するため、4両編成にもかかわらず6両編成の2200系より合計容量が大きい。

連結器

他の特別車と異なり、同型式の編成の連結を考慮し、編成の前後にM式自動解結装置を備える。一部特別車の2200 1200は、特別車側にM式自動解結装置を設置していない。

中部国際空港側

小型密着自動連結器+M式自動解結装置(固定側)

岐阜側

小型密着自動連結器+M式自動解結装置(可動側)

車両間

連結面間 600mm
棒連結器

編成連結時

先頭車は、連結の際には運転席からのボタン操作一つでカバーが外れて幌が露出する「半自動幌装置」を採用している。
 
連結状況の動画を以下に示す。(通行人や間があいている部分をカットしているので、少し動きに違和感を感じるかもしれません。)
犬山駅での連結状況(左側が新鵜沼発、右側が新可児発)
平日の朝2本のみ犬山駅で行われ、 新鵜沼発のミュースカイが先に到着し、2分後にその前方に可児発のミュースカイが停車し、締め切りの新鵜沼発のミュースカイが直進し、連結される。したがって、可児発のミュースカイが先頭車となり1号~4号車、新鵜沼発のミュースカイが5号車~8号車となる。 時刻表では、新鵜沼発の車両が到着して2分後に新可児発の車両が到着し4分後に犬山駅を発車となっているので連結作業があるのがわかる。