山本ワールド
HSC
概要
電磁直通ブレーキは、
空気でブレーキ力を得ているが、直接ブレーキ弁から直通管(SAP)を得てブレーキシリンダーへブレーキ力を指令していない。
ブレーキ弁のブレーキ指令圧は電磁直通制御器を経由している。
電磁直通制御器はブレーキ弁からの指示圧力と直通管の圧力を比較し、ゆるめ指示及び込め指示のスイッチを開閉する。
連結された車両は電磁直通制御器からのゆるめ指示及び込め指示により電磁吸排弁を開閉し、ゆるめの場合は、直通管の大気へ開放し、込めの場合は、各車両の吸気空気だめの空気を直通管に導く。弛め及び込め指令が電気で伝達されるため、応答性がよい。長い編成でも単両の様な操作性となる。
電磁直通制御器・電磁吸排気弁が故障した場合は、空気圧で指令するブレーキとなる。また、直通管によりブレーキ圧が均等するメリットもある。
電磁直通ブレーキにセルフラップ機能は必須ではないが、電磁直通ブレーキとセルフラップ機能がセットになっていることが多く同列に扱われる場合が多い。
HSC(High Speed Control)はWH社により開発され、セルフラップの電磁直通ブレーキを主体に自動常用ブレーキの機能を併設するブレーキシステムである。
発電ブレーキを付加したHSC-D(Dynamic)、回生ブレーキ併用のHSC-R(Regenerative)などがある。
名鉄6800系(6831F)の岐阜側の運転台
メーターは左側から主電動機電流計、ブレーキ圧力計2個、速度計である。
車両が駅で乗客の降車乗車のため停車しているときの状況である。常用ブレーキがかかっており、非常ブレーキは作動していない状態である。
ブレーキハンドル付近
制御弁 ME60C
名鉄6500系(6517F)の岐阜側の運転台のブレーキ圧力計
左側圧力計の黒針が制動管、赤針が元空気溜
右側圧力計の黒針が制動筒、赤針が直通管
右側圧力計の黒針がブレーキシリンダー圧力、赤針が直通管すなわちブレーキ指令圧力である。発電・回生中は針が動かない。名鉄の場合、主電動機の電流計がマイナス側に振れる。
ブレーキハンドルをセルフラップ帯に入れた場合、右側の赤針0から立ち上がり追っかけるように黒針が立ち上がる。
ブレーキハンドルを弛めると赤針と黒針が左に回転する。
ブレーキを弛めるとブレーキ弁から直通管の空気を排出するシューという音がする。
左側圧力計は、非常制動時に作動する。
黒針は通常、時計の11時付近を示し、非常ブレーキを掛けると減圧され、0を示す。停車し非常ブレーキ位置にハンドルを回したときに、一気に減圧され、停車時のパシャーという感じの大きな空気放出音が発生する。6815の場合、非常停止後、コンプレッサーが作動すれば、5秒程度で、元の位置に復帰する。
以下の写真は、車掌弁である。この赤い握りをひっぱると非常管の空気が大気に解放され、非常ブレーキが作動する。
実際の車両には、乗車数に応じて、ブレーキ力を調整する応荷重弁と発電及び回生ブレーキ等の空気ブレーキ以外のブレーキに切り替え時に、ブレーキシリンダーの経路を直通管から圧力調整弁に切り替える、締切電磁弁(ロックアウトバルブ)が設置されている。車種によっては、ロックアウトを示すランプがある。
アニメーション
以下のプッシュボタンをクリックすると動作の説明がされます。
ゆるめ
ブレーキハンドルをゆるめにすると直通管より制御空気圧の方が圧力が低いため、作用棒は、左に移動する。 込め指令線・ゆるめ指令線の接点がoffとなり、込め指令線・ゆるめ指令線に電気が絶たれる。 込め電磁弁・ゆるめ電磁弁がそれぞれOFFとなり、ゆるめ弁は開、込め弁は閉となる。直通管と大気との通路は開かれ、供給空気溜めと直通管の通路は閉じるため、直通管に空気は大気に解放され減圧される。込め
ブレーキハンドルを込めにすると直通管より制御空気圧の方が圧力が高いため、作用棒は、右に移動する。 込め指令線・ゆるめ指令線の接点がonとなり、込め指令線・ゆるめ指令線に電気が通ずる。 込め電磁弁・ゆるめ電磁弁がそれぞれONとなり、ゆるめ弁は閉じ、込め弁は開となる。直通管と大気との通路は閉じられ、供給空気溜めと直通管の通路は開くため、直通管に空気を供給される。制御空気圧と制御空気圧がつりあうと作用棒が元にもどり、空気の供給が絶たれる。重なり
作用棒は、ゆるみと込めの中間となる。 直通管はどこにも接続されないため圧力が維持される。
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