山本ワールド
SME
概要
アメリカのメリカ・ウェスティングハウス・エアブレーキ社により開発された非常弁付き直通空気ブレーキである。
日本では、三菱・日本エアブレーキがライセンス生産している。
SME(Straight air brake / Motor car / Emergency valve: 電車用非常弁付き直通空気ブレーキ。モーター無しのトレーラー用はSTEもしくはSCE)
SMに対して補助空気溜と非常弁と非常管が追加されている。
補助空気溜の空気は非常管(Emergency Pipe: EP)により供給される。
列車間は、EPとSAPの2本のホースの接続が必要である。
非常管は運転台のブレーキ弁からの加圧された空気が通常補給されている。ブレーキ弁で非常ブレーキ操作をすると直通管の空気が排出されて減圧されるため、弁が開き、補助空気溜から加圧された空気がブレーキシリンダーに送られブレーキがかかる。
列車分離等で非常管が外れた場合は空気が抜けブレーキが作動するため列車分離事故発生時に対応できる。ただしブレーキは元空気溜内に空気が込められていないと作動しないため注意が必要。
ブレーキ力の調整はブレーキシリンダーに空気を送る時間で調整するため、ハンドルを制動位置に所定の力に達した時、ハンドルを重なり位置にする。よって、ブレーキハンドルをすぐに戻すような操作が見られる。付随車にも空気溜が必要で、2管式の場合は、非常管を通じて空気が充填される。頻繁にブレーキ操作をすると空気溜の空気がなくなりブレーキが効かなくなるため、ハンドルを込め位置にして空気を空気溜めに充填する必要がある。空気溜めの充填のために専用のパイプを設けた3管式がある。
通常元空気溜の圧力は3.5kg/cm2~4.0kg/cm2になるように調整されてある。
SAP(Straight air Pipe)
EP(Emergency Pipe)
MRP(Main Reservoir Pipe)
MR(Main Reservoir)
2管式
二管式はブレーキシリンダを制御する直通管(SAP)、非常ブレーキを動作させる非常管(EP)が編成内に引き通されている。
標準的な構成は ブレーキ弁 M18A 制御弁D1非常弁である。
写真は、SMEを採用した名鉄 モ510型の写真である。
重なり
D1非常弁
弛め込め
空気は直通管(SAP)を経由してブレーキ弁から排出される。→ ブレーキシリンダーの空気は非常弁の排気穴より大気へ排出される。 非常管(EP)は元空気溜からブレーキ弁経由で空気が込められる。 元空気溜管(MRP)の空気は、非常弁内に流れ込み、空気溜と非常管圧力が釣り合う。 ブレーキシリンダー通路の穴が開いているため、ブレーキシリンダー通路は、大気へ連絡する。(図示 →大気解放)常用ブレーキ
ハンドルの位置は単車時と2両時の2つのポジションがある。 違いは、ブレーキ弁のMRPとSAPがつながる空気通路の広さにあり、空気の充填速度に違いが出る。 ブレーキ弁からSAPを経由して、非常弁に空気が込められると、緑矢印のルートで釣り合いピストン(図中 青ピストン)を下方に押し下げる。この際、ブレーキシリンダーと大気をつなぐ通路が遮断される。釣り合いピストンにより吸気弁(緑の弁)が下に押され、MRPとブレーキシリンダーの通路が、開く。よって、MRPの空気がブレーキシリンダーへ送られ、ブレーキが作動する。重なり
重なり位置にブレーキ弁ハンドルを操作すると、ブレーキ弁の各管はそれぞれどの管とも連絡しない状態となるのでSAPの圧力上昇が止まる。 供給弁(緑の弁)はブレーキシリンダー圧力と供給弁上部の圧力とが釣り合うので一定の圧力となる。 必要とするブレーキ圧になるまで制動位置にして重なり位置にすると一定のブレーキ力が得られる。非常ブレーキ
ブレーキ弁によりEP 非常管が排気管に接続されるまで、EP内の空気が大気へ放出される。 非常弁のEP圧力が下がるため、非常ピストン(赤)は右へ移動する。 この際、非常ピストンの滑弁によりSAPと非常弁上部の通路を遮断する。 同時に、非常ピストンの滑弁によりMRPからの空気が、緑矢印の経路で、釣り合い弁(青)の上部に入り、釣り合い弁を急激に下降させる。供給弁(緑の弁)が押され、最大開度となり、MRPの空気が急速にブレーキシリンダーに流入し、MRPとブレーキシリンダーの圧力が釣り合うまで、上昇し非常ブレーキとなる。 ブレーキ弁の代わりに車掌弁を引っ張った場合も、EP内の空気が大気解放されるため、同様である。 非常管が外れた場合も同様である。3管式
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