LM2588を使用した自動車でノートパソコンを使うためのDC-DCコンバータ

icon 項目のみ表示/展開表示の切り替え

概要

昇圧DC-DCコンバータ動作概要

配線図

L 28k 2k 3k 2200μ 25V 0.68μ 0.1μF 5GWJZ47 VOUT 18.5V 1.5A VIN 8V~15.8V 22μ 2 7 5 3 4 LM2588-ADJ 4700μ*2 25V SVGの代替画像

設計

最終仕様

いろいろ検討したが、最終仕様は下記のとおりとした
8V入力時 最大出力電流 1.3A(ただし高温下で使用しないこと)
11V入力時 最大出力電流 1.5A(周囲温度80℃を考慮)
放熱板は20℃/Wを使用する
11V時の最大電流を増やすためには、放熱板を大きくする、コイルを大型化するなどの対策が必要である。
8V入力時の出力コンデンサのリップル電流は、1.75Armsであるため、安全を見て4700μF*2とする。これは経済性を重視してニチコンのVZシリーズを前提としているので低インピーダンスでリップルが流せる高級なコンデンサーなら容量を減らしても構わない。
コイルは、33巻で約1.4mの線材を使用した。LCRメータで測定したところ直流電流を流さない条件で25μHあった。Amidonのサイトが最近見えなくなったので確認できないが、少し計算とずれている。
LM2588は7本足であるが2.54ミリピッチの千鳥であるため穴あき基板では挿すことができないため、片列を基板の外側に配置した。基板はサンハヤトのICB-88(47*72mm)を使用している。

ACアダプタを電源とした場合の実測

入力と出力特性

ACアダプタ Model No:NT24-1S1220(12V 2A) 秋月電子通商を用いた時の入力と出力特性の実測値を下表に記す。手持ちの抵抗の関係で1.83Aまでしか測定できなかった。

入力 出力電圧 出力電流
12.16 18.7 0
12.14 18.5 0.0925
12.12 18.5 0.185
12 18.4 0.92
11.96 18.4 1.15
11.03 18.3 1.83
1.83A出力時の各部品の発熱状況は、LM2588が一番温度が高く温度は少し熱い程度。次にダイオードである。コンデンサは冷たいままである。

ACアダプタの出力電圧と出力電流の関係

ACアダプタ出力電圧 ACアダプタ出力電流
12.17 0
12.1 0.60520
12.04 1.204
11.85 2.963

ニッケル水素電池 Energylock 単-3 1.2V 2100mAh(min 1,950mAh) 8本を使用した場合の特性

同電池を4本直列に接続した場合の出力電圧・出力電流の特性

Energylock_s.jpg
電池出力電圧 電池出力電流
5.2 0
4.86 0.243
4.55 0.56875
4.21 1.0525
4.06 1.218
4.06 1.421

同電池を8本直列に接続し電源とした場合の特性

入力電圧 入力電流 出力電圧 出力電流
10.19 18.6
7.12 1.25 18.49 0.46225
3.446 3.85 14.28 0.714

eneloop HR-3UTGB min 1,900mAhを4本直列に接続した場合の特性

eneloop_s.jpg
電池出力電圧 電池出力電流
5.18
4.91 0.246
4.71 0.471
4.28 1.07
3.613 1.86
2.88 2.88
※2013/10/27 上表の電流値を修正しました。

同電池を4本直列に接続し電源とした場合の特性

入力電圧 入力電流 出力電圧 出力電流
5.16 18.65
3.613 1.86 10.38 0.519

電池の本数と出力

昇圧コンバータは入力電圧が低いほど昇圧比が高くなるため大きな入力電流が必要となる。電池の内部抵抗が0.18Ω/本程度あるので、電池電圧が激しくドロップし出力が取れなくなる。
意外と内部抵抗が高い気がする。
今回使用した2000mAh程度のニッケル水素電池ではパソコンを駆動するのは困難である。
0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 ニッケル水素電池の比較 Energylock eneloop 電圧 SVGの代替画像

HP ProBook 5220mの特殊事情

HP ProBook 5220mのDCプラグは3端子となっている。
詳細はHPの下記のページに記載がある。
http://h10025.www1.hp.com/ewfrf/wc/document?cc=jp&lc=ja&dlc=ja&docname=c03443357 例えば変換コネクターを接続してもID端子がサポートされないためパソコン側が外部電源を受け付けない。
確かにHP用の他メーカーのACアダプタは店で見かけないことが多い
DELLのパソコンでも同様なDCプラグを使用しているようである。
DELLのACアダプタの情報をネットで検索するとID端子とACアダプタ内のEPROMが接続されており、パソコン側がこのEEPROMの内容を見てACアダプタを識別しているようである。HPではSmart ACアダプタと称している。
PCworkman Weblog参照 したがって、必要な電圧と電流を供給するだけではパソコンを駆動できないことが判明した。
正常に動作させるには、ACアダプタよりこのEPROMを取り外してDC-DCコンバータに接続するか、EPROMの内容を解析してPIC等でシミュレーションさせるか、EPROMをコピーする必要がある。ACアダプタの中古が500円程度で入手できれば、分解してICを取り出すのが一番早そうである。

互換アダプタの解析

互換アダプタを入手したので回路を解析した。

互換アダプタの解析

パソコンに接続

ACアダプタ Model No:NT24-1S1220(12V 2A)を使用した場合

バッテリを接続状態(バッテリ容量87%)で本器を接続すると「電源が接続 充電していません」の状態になる。電源としては認識されている模様。電源出力は15.9V程度となり容量不足となる。
バッテリを外した状態で本器を接続し電源を入れるとパソコンの起動が可能である。ただOCCTでCPU負荷を100%にすると数秒でシャットダウンして使用不可能となる。
バッテリを接続した状態でパソコンの電源を切った状態ではバッテリの充電が可能である。

自動車で使用した場合

バッテリーを外した状態でOCCTを使用した場合、数分でシャットダウンした。パソコンの電源を入れた状態でも充電は可能である。
入力電流がLM2588の仕様により5Aで制限されるため2A程度が限界と思われる。