概要

低いDC電圧より高い同極性のDC電圧を得る回路である

動作概要

L C D VIN L + - + - VOUT C D GND GND On Off トランジスタがOnの時 トランジスタがOffの時 SVGの代替画像

上図のグラフの凡例

I(L1):コイルの電流
I(Ci):入力コンデンサの電流
I(C1):出力コンデンサの電流
I(D1):ダイオードの電流
V(5):出力電圧
V(3):トランジスタコレクタの電圧

出力電圧が定常状態(電源が立ち上がった状態)の時の動作を示す

トランジスタがOnの時

トランジスタがOnの時コイルには、VIN-Vsatの電圧が加わる。
コイルの初期エネルギーが0とするとコイルに流れる電流は
\displaystyle \Delta I=\frac{V}{L}t
この期間の出力電圧は、コンデンサに蓄えられている電圧のみである。
コンデンサが十分充電されておりESR=0の場合、リップル電圧は、下記の式で表せる。
V_{rip}=V_{max}-V_{max}%20\mathrm{e}^{%20-\frac{D}{f%20\cdot%20C%20\cdot%20R}}

トランジスタがOffの時

トランジスタをOffするとコイルの電流を妨げる方向に電流が流れ、逆起電力が発生する。ダイオードには、電源電圧+コイル両端の電圧が加わるので昇圧される。
コイルの電流は、
\displaystyle \Delta%20I=%20\frac{V_{IN}-V_{OUT}}{L}%20T_{OFF}
Voutの方が電圧が高いので電流は減少する。
コイルに充電した電流と放電した電流は等しいので
\Delta%20I_{ON}+\Delta%20I_{OFF}=0
\displaystyle \displaystyle \frac{V_{IN}}{L}T_{ON}
出力電圧は
\displaystyle V_{OUT}=V_{IN}\frac{T_{ON}+T_{OFF}}{T_{OFF}}=V_{IN}=\frac{1}{1-D}
 トランジスタがOffの時のみ負荷に電流が供給されるため、コンデンサーで平滑する必要がある。
入力電流は、トランジスタがOn・Offにかかわらず流れるため、入力側の電源に対しては優しい
出力電圧は、トランジスタをOnにする比率(デューティー比)が大きいほど上昇する。
インダクタンスを小さくするほど速やかに電流が立ち上がるため大電流を出力可能となる。ただし電流変動が激しくなりリップルが増える。インダクタンスが小さければ、コイルが小型で済むこと、また同等の大きさであれば直流抵抗が少なく済むため、損失が少なくなる。インダクタンスが小さい場合、軽負荷時に不連続モードに速く移行することになる。
インダクタンスが小さい場合、トランジスタがOn期間で必要以上に電流が立ち上がり過ぎないように注意しなければならない(コイルの損焼、トランジスタの破壊等)
また、コイルの充電電流値を大きくすると充電時のトランジスタの飽和電圧によるロスが大きく発生するため、総合的に判断しなければならない。平均インダクタンス電流のの30%程度にリップル電流を設定するとコイルの大きさと性能のバランスが取れるようだ。(経験値)
トランジスタの飽和電圧が0Vで、ダイオードの飽和電圧が0V、コイルの直流抵抗が0Ω、トランジスタのスイッチングが瞬時に行われる理想的な場合、出力電圧と入力電流は下記の式で表せる。
出力電圧の平均値は、デューティー比をDとすると
\displaystyle V_{OUT}=\frac{V_{IN}}{1-D}
\displaystyle I_{IN}=\frac{I_{OUT}}{1-D}

ダイオードの選定

\displaystyle iD=I_{max}-\Delta%20I%20\frac{t}{t2}
\displaystyle ID_{RMS}=\sqrt{ \frac{1}{T} \int_{0}^{t2} iD^2 dt }