三相誘導電動機 3相4極  24スロット 短節巻 2層巻

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諸元

固定子全スロット数 NS24
スロットピッチ(電気角 rad) τS4π/24=π/6(rad) 30度
極数(P)4
極ピッチ(スロット) (τP )NS/P24/4=6
巻線方式重ね巻 短節巻 2層巻
コイルピッチ(スロット)5
毎極毎相のスロット数\displaystyle Npp=\frac{NS}{m \cdot P}=\frac{24}{3 \cdot 4}=2

巻線

スロットの中に収めるコイルの形状

一般的には、楕円状に巻いて、亀甲形(きっこうがた)にする。
ここではコイルを簡素に表現するため、左の形状を右の様に表現している。
太い線がコイルの巻き線、細い線が口出し線である巻始めと巻き終わりを示しています。
巻始めには黒丸をつけています。

コイル配置

24スロットなので、幾何学的には1スロットは、15度となります。
2極では幾何学的角度と電気角は同一ですが、例えば4極では交流2周期で1回転しますので、電気角/2=幾何学的角度となります。
コイルピッチが5スロットで、24個のコイルが1スロットずつずらしながら、1つのスロットには2個ずつ収まっています。
1相1極当たり2コイル使用するため5スロット間に巻くコイルを重巻とするため2個を1スロットずらして配置し直列につなぎます。これをコイルグループと呼ぶことにします。4極であるため極ピッチは6スロットであるのでコイルグループを6ピッチごとに4個配置します。2個めと4個目のコイルグループは磁極の極性を逆にするためコイルグループの出入り口を逆に接続して電流の流れる方向を逆にします。
U1(2⊗-7⊙ 3⊗-8⊙) U2(8⊙-13⊗ 9⊙-14⊗) U3(14⊗-19⊙ 15⊗-20⊙) U4(20⊙-1⊗ 21⊙-2⊗)
⊗ ⊙ その他の相は開始位置を4極なので360÷3×2/4=60度なので4スロットずつずらして同様に配置する。

コイル同士の結線

黒色数字がスロットの内側のコイル、灰色数字がスロットの外側に配置されているコイルのスロット番号を示しています。
U相 2 3 7 8 8 9 13 14 14 15 19 20 20 21 1 2 V相 6 7 11 12 12 13 17 18 18 19 23 24 24 1 5 6 W相 10 11 15 16 16 17 21 22 22 23 3 4 4 5 9 10

三相巻線結図


結線方式

一般的には、Y(スター:星形)結線が用いられます。
低圧大電流の電動機ではΔ結線が用いられることがあります。この場合、巻線の長さが長くなります。
電動機の電圧は、線間電圧で示されます。
なお、三相交流の電源の電線の色は、基準によって異なりますのでご注意願います。

巻線係数(Kd)

三相誘導電動機では一般的に起磁力が正弦波に近くなる、短節巻が用いられています。
また、短節巻は、導体の長さが短くなり経済的となります。
正弦波に近づけるために1極1相当たりのスロット数を多くしたりします。
設計では、集中巻と比較した係数が用いられます。

分布係数(Kd)

分布係数は、1極1相にある複数の導体を複数のスロットに分布させたときの起磁力の低下を示す係数である。
複数の導体が1スロットに収まっている時を1とし分布すると起磁力が階段上になって弱まるため1以下になる。
このケースでは、2スロットに分布させているので、Npp=2となり、1スロット分の電気角がずれるためその分弱まることになる。
係数は以下の式で求まる。
\displaystyle Kd=\frac{\sin(N_{pp} \cdot \frac{\tau s}{2})}{N_{pp} \cdot \sin \frac{\tau s}{2} }
\displaystyle =\frac{ \sin( 2 \sin \frac{\pi }{6} )}{2  \sin \frac{\pi}{2} }=0.9659
下図はNpp=3の時の例である。

短節係数(Kp)

短節巻は、極ピッチよりコイルピッチが短巻き線方法である。
全節巻は、極ピッチとコイルピッチが同一の巻き方である。
短節巻により、最大起磁力は低下するが、起磁力が階段上になるため正弦波に近づく。
短節量 \displaystyle \beta=\frac{5}{6}=0.8333
\displaystyle Kp=\sin \frac{\beta \pi}{2}
\displaystyle Kp=\sin \frac{0.8333 \pi}{2}=0.9659

回転磁界

下図は円周方向を直線に展開し各スロットの起磁力を図示しています。
下向きがN極(鉄心から磁束が出てくる場合)、上向きがS極(鉄心に磁束が吸い込まれる場合を示す。)
緑の正弦波は起磁力と同一の実効値の正弦波を図示しています。
円は導体(コイル)を示し、円の中の記号は電流の向きを示しています。
二次元で置方向の電流を表すために一般的に用いられ、⊗が奥へ向かう電流、⊙が奥から手前に流れる電流を示しています。
導体に電流が流れると進行方向の直角方向に時計回りの磁界が発生します。これをアンペールの法則の右ねじの法則といいます。右ねじを締めるとねじは、奥へ向かいますが、これを電流の進向きに見立てると、ねじの回転方向が磁界の回転方向を示しています
⊗⊙の記号は、ねじの頭と先を示している説と、矢じりの羽と先を示している説がありますが、正解はわかりません。
三相交流により時間により電流の向きや大きさが相ごとに変化するため、磁界が移動します。これを回転磁界と呼んでいます。
以下の自動回転ボタンをクリックすると電気角と起磁力分布と回転磁界のアニメーションが表示されます。

電気角

0 60 120 180 240 300 360 0 1/3π 2/3π π 4/3π 5/3π 420 480 540 600 660 720 7/3π 8/3π 10/3π 11/3π

起磁力分布


電流と磁界の向き
⊗:電流が奥へ流れている ⊙:電流が奥から手前へ流れている
色は、U相が赤V相が青W相が緑である。

回転磁界と幾何学的角度

電気角 0 幾何学的角度 0
N N S S N N S S N N S S N N S S N N S S