負電源作成回路(試作品2)

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負電源作成回路(試作品2)

概要

5V程度からチョッパを使用して-15Vを作成する。前回の改良版である。
最小値入力電圧はNE555の最小電圧より4.5Vとする。出力電圧はOPアンプが使えるように-15Vとする。出力電流は使用する電流センサーで必要な50mAとする。入力電圧や負荷変動により出力電圧の変動が少なくなるように555の変調端子を使用してパルス幅を変化させ、コイルの供給電流を調整する。使用する部品は手持ちの関係で特殊なものは使わないようにした。前回は555の出力にNPNトランジスタを介してPNPトランジスタを駆動していたが、555自身のドライブ能力が高いこと、しかも吸い込み吐き出し両方のドライブ可能な点を考慮して省略した。

動作説明

A1015 C1815 NE555 VCC OUT CONT 0.01 1000μ 1 2 6 7 8 4 4.5V~16V TRIG THRES DISCH RESET 390p 47k 4.7k 100 3 5 57 B688 125μ 1000μ -1.2V~-15V 10k 470 S5566B SVGの代替画像

負電圧発生

 555の出力がLowの時、2SB688がOnとなる。このときコイルに電源電圧に近い電圧が加えられ徐々にコイルの電流が上昇する。電圧をV、コイルのインダクタンスをL(H)、コイル電圧を加えた時間をt(秒)とすると、電流は I(A)=V*t/L であらわせる。すなわち電流はのこぎり波のようになる。 最大電流でも飽和しないコイルを選択しなければならない。出力がHiになる時間幅は、4.7k+47kで390pFを充電したとき、電源電圧の1/3から2/3になる時間で決まる。計算式は次のとおりである。 0.693*(4.7K+47K)*390p
 555の出力がHiになると、2SB688がOffとなり、コレクタ電流が切れる。このときコイルには逆向きの電圧が発生し、それをダイオードを経由してコンデンサに充電する。出力がLowになる時間幅は、47kで390pFを放電したとき、電源電圧の3/2から3/1になる時間で決まる。計算式は次のとおりである。0.693*47k*390pF
 トランジスタは、いったんOnになるとベース電流を切っても、キャリアの蓄積効果により等価的にトランジスタのベースエミッタ間にコンデンサがあるように見え、そのコンデンサの電荷を空にしない限りOffにならない。したがって、OnよりもOffのほうが時間がかかる。Offの時間が速くなるようにベースエミッタ間に放電用の抵抗を設けている。計算上は、555のLowとHiの時間はほぼ同一となるが、実測は、トランジスタのOn/off期間はOn=24.5μs、Off=3.5μsであった。キャリア蓄積効果であろうか。各部の電圧電流を実測したところ、最大ベース電流が28mA、最大コレクタ電流は0.85A、VCE(sat)が0.6~0.8V、ダイオードの通電時間が6μs、逆方向回復時間が2.5μs、ダイオードの順方向電圧が約0.5V、最大順電流が0.75Aといったところである。コイルの電流波形を見ると充電時間は、直線的に上昇しており、飽和はしていない。(飽和をすると空心コイルと同じ状態になりインダクタンスが減少する。電流の上昇度合いが大きくなるのでわかる。)ちなみに少し暖かくなっている。トランジスタの消費電力は概算で、VCE(sat)*IC(max)/2*t1/t  0.7*0.85/2*24.5/28=0.26Wといったところ。手でもてないことはないが、放熱板を付けてやりたいところ。トランジスタを購入するなら、もっと、VCE(sat)の小さいトランジスタを採用すべきであろう。On抵抗は、単純に0.7/0.85=0.82Ωとなる。
出力リップルは、約50mVp-p。 コイル・ダイオード・コンデンサ経路の内部抵抗は概算で、0.05/0.75=0.067Ω 意外と低かった。
効率は、入力が 4.97V*0.353A=1.75Wの時、出欲が -15.16V 0.0459A となる。約40%となる。トランジスタのON抵抗による損失が14.9%、ダイオードによる損失が、0.5*0.75/2*6/28=0.04W 2.3% その他の損失が42.8%となる。その他には、コイル・コンデンサの抵抗分が含まれる。

電圧制御

出力の負電圧の絶対値が大きくなると、2SA1015がOnとなり、555のCONT端子の電圧を下げる。2SC1815は555のCONT端子が負電圧にならないようにしている。
CONT端子の電圧が下がると555の発振周期は速くなる。コイルに流れるピーク電流はOn時間に比例するため、周期が速くなるほど出力電圧は下がる。
555は通常、コンデンサ390pFの電圧が2/3*電源電圧になるまで充電しその後をLowにし放電を開始する。390pFの電圧が1/3*電源電圧まで下がったら出力をHiにし充電を開始する。CONT端子はこの充放電を切り替える電圧を調整することができるのである。なお、電圧の比較に2SA1015のベースエミッタ間を使用しているため温度依存性があるので注意。-2mV/℃であり、-15Vを発生させるときは、-2*15/0.6=-50mV/℃ 出力が変動するので注意。

555のデーターシート

RENESAS http://documentation.renesas.com/jpn/products/linear/rjj03d0648_ha17555.pdf 日本語 テキスト・ベクトル化されている トランジスタによる等価回路有り 使用上の注意点の記載が有る。
HITACHI http://www.interq.or.jp/japan/se-inoue/pdf/j_ha17555.LZH 日本語 ラスタベース トランジスタによる等価回路有り(抵抗値の記載有り) 使用上の注意点の記載が有る。
Philips http://www.ai-hk.cn/opeamplan/555.pdf 英語 ラスタベース トランジスタによる等価回路有り(抵抗値の記載有り) 
TEXAS http://www.best.tuke.sk/parker/archiv/ne555.pdf 英語 テキスト・ベクトル化されている

555の周期等の計算

2SB688 http://www.ortodoxism.ro/datasheets/mospec/2SB688.pdf
S5566B http://www.datasheetcatalog.org/datasheet/toshiba/3546.pdf