負電源作成回路(試作品)

概要

溶接時(12Vのバッテリーを3個直列)の電圧降下や自動車のバッテリで使用できることを考慮して正電源からチョッパを使用して負電源を作成する。この回路は入力電圧より絶対値が大きい負電圧を作成することも可能である。(もちろんそれなりに電流が取れなくなる。)
入力電圧は、バッテリー1個を想定して最大15Vとする。最小値はNE555の最小電圧より4.5Vとする。出力電圧はOPアンプが使えるように-15Vとする。出力電流は使用する電流センサーで必要な50mAに余裕をみて100mA以上使えようにする。入力電圧や負荷変動により出力電圧の変動が少なくなるように555の変調端子を使用してパルス幅を変化させ、コイルの供給電流を調整する。使用する部品は手持ちの関係で特殊なものは使わないようにした。単三電池4本より-5V 100mAが作成できた。

動作説明

 555の出力がHiの時、2SC2235がOnとなり、コレクタ電流が流れる。よって、100Ωに電圧が発生し、2SB688もOnとなる。このときコイルに電源電圧に近い電圧が加えられ徐々にコイルの電流が上昇する。電圧をV、コイルのインダクタンスをL(H)、コイル電圧を加えた時間をt(秒)とすると、電流は I(A)=V*t/L であらわせる。すなわち電流はのこぎり波のようになる。 最大電流でも飽和しないコイルを選択しなければならない。出力がHiになる時間幅は、4.7k+15kで390pFを充電したとき、電源電圧の1/3から2/3になる時間で決まる。計算式は次のとおりである。 0.693*(4.7K+15K)*390p
 555の出力がLowになると、2SC2235がOffとなり、コレクタ電流が切れる。よって、2SB688もOffとなる。このときコイルには逆向きの電圧が発生し、それをダイオードを経由してコンデンサに充電する。出力がLowになる時間幅は、15kで390pFを放電したとき、電源電圧の3/2から3/1になる時間で決まる。計算式は次のとおりである。0.693*15k*390pF
 トランジスタは、いったんOnになるとベース電流を切っても、キャリアの蓄積効果により等価的にトランジスタのベースエミッタ間にコンデンサがあるように見え、そのコンデンサの電荷を空にしない限りOffにならない。したがって、OnよりもOffのほうが時間がかかる。Offの時間が速くなるようにベースエミッタ間に放電用の抵抗、555とベース間にスピードアップコンデンサを設けている。555がLowからHiになる瞬間に、スピードアップコンデンサが短絡状態となり速やかにベースに電流を供給する。HiからLowになるときは、コンデンサからベースに負の電圧がかかるため、速くベースエミッタ間のコンデンサを放電することができる。

出力の負電圧の絶対値が大きくなると、2SA1015がOnとなり、555のCONT端子の電圧を下げる。2SC1815は555のCONT端子が負電圧にならないようにしている。
CONT端子の電圧が下がると555の発振周期は速くなる。コイルに流れるピーク電流はOn時間に比例するため、周期が速くなるほど出力電圧は下がる。
555は通常、コンデンサ390pFの電圧が2/3*電源電圧になるまで充電しその後をLowにし放電を開始する。390pFの電圧が1/3*電源電圧まで下がったら出力をHiにし充電を開始する。CONT端子はこの充放電を切り替える電圧を調整することができるのである。なお、電圧の比較に2SA1015のベースエミッタ間を使用しているため温度依存性があるので注意。-2mV/℃であり、-15Vを発生させるときは、-2*15/0.6=-50mV/℃ 出力が変動するので注意。

コイルには電源電圧-0.2V程度まで電圧を加えることができた。エミッタフォロワでコイルを駆動するとVBE=0.6程度下がるため、効率が落ちる。

2SC2235のベースエミッタ間にあるダイオードはトランジスタを保護するためのもので3.0Vのツェナダイオードを2個使用する。入力電圧が高いときとスピードアップコンデンサによって高い負電圧が発生したとき、ツェナダイオードの逆方向の電圧3V+順方向電圧約0.6=3.6Vに抑える。一般にベースエミッタ間の最大定格は5V程度である。555のOut端子につながっている2.2kの抵抗の値を調整すれば不要となるが、任意の電圧で使えるようにダイオードを挿入した。

5.8Vから-5Vを発生させたときに50mAの出力をとると、入力電流は0.14Aであり、入力電力が0.812W 出力電力が0.25Wなので効率は 31%であった。NE555の電源電流が10mA程度であること(CMOS版を使えば改善される)、出力電圧が少ないと相対的に2SB688のVCE(sat)=0.4Vが効くこと。コイル側のダイオードのロスも同様である。また、2SB688のOff時のスピードが遅いことによりOnとOffの中間領域が発生し損失となる。コンプリメンタリエミッタフォロワでドライブしたいとこである。低い電圧でドライブできるMOS-FETを使えばロスがかなり減らせるであろう。また、負荷が重いと負電圧が立ち上がらない現象が見られた。-5V出力で100mAは無理であった。使用したトランジスタはオーディオや汎用などリニア領域で使うことを想定されたものでありいわゆるスイッチング用でない。スイッチング用なら安価でしかも飽和電圧の少ないトランジスタが容易に見つかるかもしれない。

555のデーターシート

RENESAS http://documentation.renesas.com/jpn/products/linear/rjj03d0648_ha17555.pdf 日本語 テキスト・ベクトル化されている トランジスタによる等価回路有り 使用上の注意点の記載が有る。
HITACHI http://www.interq.or.jp/japan/se-inoue/pdf/j_ha17555.LZH 日本語 ラスタベース トランジスタによる等価回路有り(抵抗値の記載有り) 使用上の注意点の記載が有る。
Philips http://www.ai-hk.cn/opeamplan/555.pdf 英語 ラスタベース トランジスタによる等価回路有り(抵抗値の記載有り) 
TEXAS http://www.best.tuke.sk/parker/archiv/ne555.pdf 英語 テキスト・ベクトル化されている

555の周期等の計算

2SB688 http://www.ortodoxism.ro/datasheets/mospec/2SB688.pdf
2SC2235 http://www.semicon.toshiba.co.jp/docs/datasheet/ja/Transistor/2SC2235_ja_datasheet_061107.pdf